第35話 ホワイトデー(後編)
ホワイトデー当日の、会社の昼休み、靖枝さんは少しテンションが高めだった。
「どうしたんですか?そんなにうかれて」
「え~~~~、そりゃ~もう、分かってるでしょう~~♡今晩は・・・・・・・・なおきが・・・・・・・いっぱい♡いっぱい♡私をリードしてくれるから♡♡」
「リード?何をリードするんですか・・・・・・・・・」
「私の口から言わせるの~~~♡も~~~~う、なおきの、い・じ・わ・る♡♡」
「何をそんなに期待してるんですか・・・・・・・まったく・・・・・・・・・」
二人でいるときは、いつもこんな感じだけど、数多くの男友達にも、同じ反応をしているんじゃないか?と疑問を持つようになったから、素直に喜べずにいた。
仕事が終わり、二人で買い物を済ませ、部屋に直行っていうのが、定着していた。
「さぁ~~~て、ごはん作っちゃうね~~~~♡」
イベント事には、いつも積極的アピールしてくるけど、今日は普段通りだった。
「あれ?珍しいね~。また目隠しされると思って覚悟してたのに」
「え~~~~~~~。だって、今日はホワイトデーだよ~~~。なおきの方から、後ろから揉んできたり・・・脱がしてきたり・・・してくれるんでしょ~~♡♡」
「ぶっ・・・・・・・・・そういう発想だったか;;」
「私、期待しちゃうもん♡♡ なおきならしてくれるもん♡♡」
なんだか今日は、甘えん坊モードに入っているな、靖枝さん。
やらなかったら・・・・・・・・めちゃくちゃスネるだろうな・・・・・・・・・
ある意味、やりさない!アピールで、いつもの積極的な彼女に変わりがないのか。
料理を作っている彼女の後ろから、やさしく抱きついた。
「あっ!こんな所に、2つの柔らかい肉まんが・・・・・」
「あん・・・・・・・・料理中で手がふさがってるのに~~~~~~~♡♡」
「お腹がペコペコで・・・・・・もう待てない・・・・・・・・・・」
「ハァハァハァ・・・・・そんな所まで・・・・・・・な・・お・・き・・♡♡」
いつも通り、ご飯を食べる前に・・・・・・・・・・・靖枝さんを食べた・・・・
「ねぇ、なおき。この前の事、まだ怒ってる??」
「怒ってないよ・・・・・・」
「本当に!?最近のなおき、ちょっと遠くに行った感じがして・・・・・・・」
「そ・・・・そんなことないよ」
ビックリした。靖枝さんは気づいていたんだ。
それとも、俺が隠すのが下手なのか?表に出ちゃったりしているのか?
女性って、すごく勘が鋭い感じがするから、ある意味怖い生き物だ・・・・・・・
晩御飯を食べ終えて、二人はくつろいでた。
「そうだ、お返しのお菓子あるんだった。食べる?」
「うんうん!食べる食べる!!なおきを♡♡」
「・・・・・・こらっ・・・・・・」
「モグモグ・・・・・・おいしいね~~~~。太っちゃうかな・・・・・・・・・・でも胸に付いてくれたら、なおきも喜ぶからいいか♡♡」
「そりゃ~喜ぶね(笑)」
「ほんと、男って、おっぱい好きだよね~~~~なんでだろ」
「なんでだろうねぇ~。男には無い物だからじゃないの?その柔らかさが」
「そんなもんかね~~」
「やすえだって、無いよりあった方がいいでしょ?」
「そりゃ~~~、ボンッ・キュ・ボンッ ってのは憧れるよね~~~(笑)」
「でも、やすえの胸、俺、好きだけどな~~。程よい大きさで柔らかいし!」
「や~~~ん。なおきが褒めてくれてる~~~~~♡♡」
「ゴホン・・・・・・まぁ~それはさておき、少し、会社のグチいってもいい?」
「どうしたの?何かあった?」
「最近、一人で任されてるのはいいんだけど、誰も手伝ってくれなくて、俺だけ残業ってのが多くなってきて」
「あ~~。よくある話ね~。なおき、あんまり信用したらダメだよ上司を。あいつらは、社畜としか思ってないし!!結局のところ、偉くなっていくのは、学歴がある人だけで嫌になちゃうよ」
「なるほど~。勉強になります!先輩!」
「本当に大切に思ってるのなら、手伝ってくれるし、人をポイ捨て扱いはしない!
上司が動かない会社は正直・・・クソだよ!結局、楽しての高給取りのカスだよ」
珍しく、靖枝さんが熱く語ってくれた。
何か、嫌な事でもされたのか?ここまで言う人じゃないのに。
これが、学歴がない、最大のデメリットなのかもしれない。
どんなに仕事が出来なくても、学歴さえあれば、それなりに上の方に行ける。
逆に、仕事が出来ても、学歴がないせいで、上から押さえつけられる。
靖枝さんの語りは止まることなく、今日という日は過ぎて行った。
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