第30話 充実な日々
学生も、冬休みが終わり、またいつもの日常生活に戻っていた。
冬も、本格的に寒さが身に染みて、風が冷たい中、俺はうかれていた。
靖枝さんとの付き合いもそうだが、今まで、一生懸命働いて、買ったバイクで走れる喜びがあるからだ。
一生懸命頑張った事が、形になって現れる。
こんなに充実した日々がくるなんて、卒業してから思ったことはなかった。
仕事の方も、まだ一人前とはいかないまでも、何とか、こなしていた。
忙しさも、一段落し、定時で帰れることが多くなった、ある日、あの場所に、加藤さんが、寒さにも負けず、頑張っていた。
いきなり、バイクで現れると、怖がったりしないかな?
そんな事を思いながらも、あいさつしてみた。
「加藤さん、頑張ってるね!」
「・・・・・・・・????」
フルフェイスヘルメットからだと、誰だか分らない様子だ。当たり前か・・・・
「あ・・・・・ごめん。(取る)俺だよ、加藤さん」
「よ・・・・・横井君!!!」
「びっくりした?」
「そ・・そりゃ~誰だかわかんないよ~~。バイクになったんだ~~~」
「最近からだけどね」
「うわ~~~~!カッコいいね!!でも、冬は寒そう(笑)」
「ちょっとね;;でも、こいつのために、頑張って働いてたからね」
「あっ。親に買ってもらったんじゃないんだ!」
「ただでさえ、中学時代は迷惑かけたんだ。これ以上、迷惑かけられないよ」
「えらいね!横井君は!私はまだ、お小遣いとか貰ってるもん。バイトとかやってみたいんだけど、学校が厳しくてね~」
「社会人なんだから、これぐらいは、当たり前だと思うけどね」
「やっぱり、大人だな~。横井君は!!」
「それより、絵の方は順調かな?」
「そうだね~。納得いく作品はあるんだけども、つい欲張っちゃってね(笑)
もっといいもの描ける!って、スランプではないけど悩んではいる(笑)」
「そっか~。だったら、今度こそコンクール。楽しみにできるね!」
「そんなプレッシャー掛けないでね(笑)。あっ!そうだ!またみんなでカラオケ行こうって話になってるんだけど、横井君どう??」
「あぁ~。うん。時間が合えば、俺は大丈夫だけど」
「本当に~!じゃー決まったら、光武君から連絡あると思うから。・・・・・・・楽しみだね(ニコッ)」
「了解しました!」
「それじゃ~帰ろっか」
「そうだね、それじゃ~またね」
「うん。またね~バイバイ~」
なんだか、自分自身が、すごく前向きで、変わってきてるな~と実感した。
学校の昼食中に、みんなでカラオケの段取りを始めていた。
「哲君は、いつ頃ならいいの?」
「俺たちはいつでもOKじゃん。直が次の日、休みの方がいいんじゃないか?」
「だったら、土曜日とかだね。一恵と三月は大丈夫?」
「私は大丈夫だけど、三月ちゃんはどう?」
「私も全然大丈夫!彼氏は置いてくるよ(笑)」
「じゃー決まりね。哲君が連絡しといてね、横井君に」
「一恵ちゃんが、電話で言っといてよ~。あとは任せた~~」
「じゃ~、一恵、よろしくね~~」
「一恵ちゃん、お願いね~~」
「えっ?えっ?・・・・・・・・」
そう言って・・・・・・みんなが・・・・・逃げていってしまった・・・・・・・・
彼女いるのに、電話なんかしてもいいのだろうか・・・・・・・・
ま・・・まぁ。みんなに頼まれたんだし・・・・・友達だし・・・・・・・・・・いいか・・・・な・・・
必死に私は自分に言い聞かせていた。
俺のスマホが鳴る事は、靖枝さんからの連絡くらいしかないけど、仕事帰りに予定とか話したり、直接、家に来たりで、ほとんど鳴る事はない。
一回充電したら、やたらと電池持ちがよくて、とても経済的だ;;
だから、ほぼ放置。そんな中、スマホが鳴った。
靖枝さんかな?と思いつつ画面を見たら、加藤さんからだった。
「も・・・もしもし・・」
「あっ!も・・もしもし、横井君?ごめんなさい・・・電話なんかしちゃって・・迷惑じゃなかった??」
「い・いや。全然大丈夫だよ!」
なれない、加藤さんからの電話。あの場所では、普通に話してるのに、凄い緊張!
「あのね、今度の土曜日って、何か予定入ってたりする?」
「土曜日は、仕事も休みで、予定も何もないかな~」
「じゃぁさ、この日に、みんなでカラオケいかない?」
「ああ。俺は大丈夫だけど」
「私たち女子3人と、光武君と横井君の5人で行こうって決まって」
「うんうん。わかったよ~」
「この前、行ったカラオケで、横井君、歌えなかったでしょ。私も横井君の歌声を聞いてみたいな~」
「そんな・・・・人前で聞かせるほど、上手くはないよ・・・・」
「私だって上手くないよ~~~~(笑)それじゃー詳しい時間とかは光武君に聞いてね。・・・・・・・・・・・・・・ごめんね。急に電話したりして・・・・・」
「いやいや、土曜日楽しみにしてるよ」
仕事も、恋愛も、友達とも、充実した毎日を送ってるが、逆に、何かとんでもない事が、起きないか・・・・ネガティブな自分はまだ心の中にいた。
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