第27話 友達

クリスマス・・・・・・・・俺は嫌いだ。

なぜなら、誕生日が1月6日で、一緒にされたからだ。

子供の時は、どっちも期待してしまうけど、そんなに甘くない。


今じゃ、社会人になったから、仕事の辛さや、お金の大切さが、身に染みてわかる。

もう、子供じゃないんだな~と、ちょっと悲しくなった。


今年の、イヴは、靖枝さんが、妙に張り切っている。

「ケーキは私が作るからね♡」と、リア充まっしぐらだ。


ただ、年末だから、仕事も少し忙しい日々で、遅くなる日が多かった。

たまたま、定時に終わった帰り道、あの場所に、加藤さんの姿があった。


「あっ!横井君。お仕事ご苦労様!!」


「加藤さん、大丈夫?寒くない?」


「ちゃんと、着込んでるから大丈夫よ(笑)」


「コンクールが近いの?」


「まだ、ちょっと先なんだけど、この風景は今しかないからね!

 描けるうちに描いとくの!」


「身体だけは壊さないでね~。カゼとかも、気をつけなきゃ」


「ありがとう~!横井君も、気をつけなきゃね。イヴも近いんだし」


「クリスマスと誕生日が、ごちゃごちゃになるんだよね、俺って」


「え?誕生日がクリスマスなの?」


「あ~誕生日は1月なんだけど、子供のころ、一緒にされてたから」


「横井君も誕生日1月なんだ!!私も1月、誕生日なんだ~」


「じゃー、加藤さんも、誕生日とクリスマス、一緒にされてたの?」


「そうだね~。近いイベント2つあったら、一緒にされちゃうよね~(笑)」


「加藤さんは何日なの?俺は6日」


「私は13日。横井君の方が、1週間先輩だね(笑)」


少しは、加藤さんとも、普通に会話が出来るようになってきたと思う。

友達として、これなら、上手くやっていけそうな感じがしてきた。

ただ、気持ちを知っているだけに、複雑な心境であるのは確かだ。


加藤さんの方から、イヴの話に、戻されてしまった。


「横井君。プレゼントとかは、もう買ったの?」


「あ~~、いや~。俺、プレゼントなんて買ったことないから、悩んでるんだ~」


「そうなんだ~」


「こんな事、加藤さんに聞くの、迷惑だと思うけど・・・・・・・・・・・・・」


「ううん、いいよ~。何でも聞いて(ニコッ)」


「女性は、何を貰ったら、うれしいのかな~?」


「人それぞれだと思うけど、無難な所では、指輪、ネックレス、時計、イアリング、と、身に着ける物だと、思うけどな~~」


「なるほどね~~。加藤さんは当然、プレゼント貰ったことあるよね~?」


「え~~~~~!ないよぅ!!まだ付き合った事もないもん~~!」


「そ・・・・そうなんだ・・・・・意外だな~~」


「今年も、一人寂しい、イヴだよ(笑)」


その笑顔が・・・・・・・・・・・すごく痛かった・・・・・・・・・・

俺だったら、告白した人と、友達になるのは、凄く辛い。

でも、加藤さんは、笑ってくれる。

もう、まったく、女性の気持ちが、分からなくなっていた。

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