第22話 冬だけど春が来た

やってしまった・・・・・やってしまった・・・・やってしまった・・・・


俺は一晩中、寝れずに、色んなことを考えていた。

今村さんの、「付き合って」って言葉は本当だったのか。

酔っぱらった勢いだけで、記憶にないとか。

一線を越えた俺に、怒ってきたり・・・・・


自分自身の気持ちも、改めて考え直して見た。


加藤さんが好きだって気持ちにウソはない。

ただ、1つ気になってる事がある。それは、高校生と社会人の壁。

俺の方は、そこまで気にしてないが、加藤さんが周りに、

『あんな奴と付き合ってるの』と冷やかされたりしないか。

歳上の社会人なら問題ないが、同い年の社会人って所に、まだ引っかかっていた。


今村さんの方は、共通点も多く、一緒の場所の会社に勤めてて、話も合う。

でも、彼女の行動だと、からかってたり、弟のような存在で、恋人として

自分が見られている感じには思えなかった。

でも、俺の事をかなり理解してくれているし、はっきり言って、好きだ。


・・・・・・・・考えててもしょうがない。

目を覚ました、今村さんから、真実を聞けばいい話だ。


お酒が入ると、目覚めも悪いのだろうか。なかなか起きてこない。

横には、全裸姿の今村さんがいるだけで・・・・また気が狂いそうだ・・・・・


もうすぐ、お昼になろうかという所で、やっと彼女が目を覚ました。


「ふわぁぁぁぁ~。おはよう~~なおき♡」

お・・・おはようございます・・・」


「どうしたの?緊張して(笑)」


「あ・・・・いや・・・何か着てください・・・・」


「あっ!も~~~う♡ なおきのエッチ~♡」


靖枝さんは、長めのYシャツを上に羽織っただけで、下着もつけず・・・・

昨日の後片付けを始めた。

男にとって、長めのYシャツなんて・・・・最高のシチュエーション!

そのあとに、ササッとスクランブルエッグを作ってくれた。


「はい、なおき、め・し・あ・が・れ♡それとも私を、め・し・あ・が・る?♡」


「ゴホン・・・・・いただきます」


この様子だと、昨日の事は、酔って忘れてるなんて事はないだろう。

それでも、恐る恐る、確認のため、今村さんに聞いてみた。


「あの、靖枝さん。昨日の事なんですけど・・・・忘れてませんよね?」


「もちろん♡激しかった、なおきの事も、全部覚えてるよ♡」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・付き合ってって事も?」


「覚えてるよ~~~本心だもん♡」


「そ・・・それって、すぐに返事しないとダメですか・・・・・?」


「あ~~~~!抱いて捨てるなんて・・・・・私、悲しい・・・・・・・・(笑)

それとも、誰か好きな娘がいるとか?」


「えーーーーーーーとーーーーーー。気になってる人はいます」


「そうなんだ~。やっぱりいるよね。なおきは、歳上のおねーさんは嫌い?」


「い・・いや、嫌いじゃないですよ。靖枝さんは、歳下の人と付き合ったことあるんですか?」


「歳下の人はないよ。やっぱり、弟みたいな感じに思っちゃうから。

でもね、なおきは違った。学生じゃないって所もあるんだろうけど、苦しみながらも社会人として頑張ってる姿を見ているから、好きになっちゃったんだ♡」


今まで、あんまり見たことのない真剣な顔で、俺に言ってきた。


「昨日は酔った勢いって思われちゃうから、真剣に言うね!!」


「私は、なおきの事が大好きです!!!!ちょっとだけ、Hなお姉さんだけど付き合ってください!!!」


断る理由なんか、探しても見つからなかった。

一線も超えちゃってるし、同じ仕事仲間でもあり、なにより自分の事を、弟としてじゃなく、男して見てくれたのが、すごく嬉しかった。


「俺なんかでよければ、ぜひ」


「よかった~~♡これからも、いっぱい、ラブラブな事しようね、な・お・き♡」


こうやって、二人は恋人として付き合うことになった。


季節はもうじき、冬になって寒さが身に染みてくるけど、俺の心は温かく

幸せの日々が、始まろうとしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る