第20話 意外性

だんだんと、秋風が冷たく感じられるようになってきが、俺の心の中は燃え盛っていた。今度、チャンスがあれば、告白する!!!

絶対に成功する!!!めずらしくポジティブになっていた。

こんな時は、仕事をしてても、すごく、はかどり、時間が経つのも早かった。


昼休みはいつも通り、今村さんが押しかけてくる。

また、からかわれるんだろうなーと、覚悟していた。


「直樹君~~♡ この前の約束覚えてるよね~~♡」


「え?なんでしたっけ?」


「給料入ったら、ごはん、おごってくれる言ったじゃん(笑)」


「あぁ・・・・確かに言いましたね;;」


「今日の夜にどうかな~?」


「別にいいですよ」


加藤さんの事で、頭がいっぱいで、すっかり忘れていた。

言ったからには、やっぱり行かないとなー。

その日の仕事帰りに、今村さんの車で、食事に出かけた。


「直樹君、明日休みでしょ~。だから、今晩、う・ち・に・こ・な・い♡?」


「な・・・何言ってるんですか・・・」


「お・ね・が・い♡ 一度ゆっくり、一緒に飲みたいな~って思ってね。ニコッ」


「俺、まだ未成年です!!」


「直樹君は当然ジュースだよ(笑)」


「こ・・これって・・・・冗談で言ってるんですよね?」


「あ~~ん。なんでこんな事を冗談で言うのよ~~~。私と一緒じゃ・・・嫌?」


「あ・・・・え・・・・嫌じゃないですけども・・・・・」


「だったら、決まりね~!」


外食のつもりだったのに、なぜか、スーパーで買い物をしていた。


「私が、ごはん、作ってあげるから~~。期待してね~~」


「ごめんなさい。ちょっと意外でした。靖枝さんが料理できるなんて;;」


「あ~~~~~。失礼だなぁ~~直樹君は。こう見えても、一人暮らしになってからは、ちゃんと料理作ってるんだから~~~」


「す・・・すいません;;」


じゃがいも、にんじん、玉ねぎ・・・・カレー粉。間違いなく、カレーだ!

俺のイメージでは、今村さんは、コンビニで済ますのが、当たり前だと思っていたが、意外な一面が見れて、すごく可愛く見えた。

買い物が終わり、今村さんのアパートへと車を走らせていた。


「よ~~~し、着いたよ~~~」


女性の一人暮らしの部屋に入るなんて、当然、初めて。変な緊張してきた・・・・


「さぁ~~、直樹君!!入って!入って!」


「お・・・・・おじゃまします」


「よ~~~し。私の手料理ふるまっちゃうよ~~~」


そうやって、エプロンを付けて、野菜を切り始めた。

男だったら、誰もが喜ぶ、シチュエーションだろう。エプロン姿で料理を作っている後ろ姿。

今までの、今村さんから想像できないほど、可愛げがある女性に見えた。


「は~~~~~い♡ できたよ~~~~~~♡ 早く食べて食べて~~~♡」


「うわぁ、上手そうですねー。いただきます」


「どう?どう?どう?おいしいでしょ??」


「う・・・・うまい・・・俺好みの味ですよー!」


「でしょ~~~~!私は、直樹君の好みなら何でもわかるんだよ~フッフッフッ」


「お世辞なく、どれだけでも、食べれますよー」


「じゃんじゃん、た・べ・て・ね♡」


ごはんを食べ終わったら、今村さんは早速、お酒を飲みだした。

もちろん、俺は、ジュース。


「いや~~~~しかし、先月はマジで忙しかったね~~~」


「ですよね!俺も、追加発注ばっかりで、嫌になりましたよ」


お互いに、仕事のグチの言い合いが始まった。


やっぱり、社内結婚も多いのがわかる気がする。

ほぼ、一緒にいる環境だと、お互いの話がわかるし、共通点も多い。


だから、この前の、文化祭は居心地が悪かったんだと思う。

でも、加藤さんと一緒の時は違ったんだよなー


「おい!直樹!聞いてるの??」


酔いが回ってきたせいか、今村さんの絡みが、ますます ヒートアップ!!

長い夜になりそうだ、と、思い始めていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る