第6話 気づかないだけで出会ってた

「おはよう~、一恵ちゃん~」


「あっ、おはよう三月ちゃん」


「ゆうちゃんはいつもの通り彼氏と通学か~うらやま~~!」


「あ~いいよね~」


「私も彼氏と通学したい~!やっぱ青春してる~って感じするもんね~。でも好きな人もまだいないしな~。あ~~~誰か告ってくれないかな~!そういえば一恵は告られたんだよね!なんでOKしなかったの!もったいない!贅沢は敵だぞぉ(笑)」


「私は今は絵で忙しいからね」


「そー言えばさぁ一恵ちゃん、放課後に美術室で見かけないんだけど??」


「あ~。いつも外で描いてるんだよ。晴れた日はね。なんだか土手沿いの風景がすごく気に入っちゃって」


「ゆうちゃんは彼氏に、一恵ちゃんは絵に一所懸命、私も何かに頑張らなければ!って。まだ何していいのか分からないんだよね~」


「そんなに焦らなくてもいいんじゃないかな。じっくりやっていこうよ!誰かが告ってくるかもしれないし(笑)」


「そ・・そうだよね!そうだよね!!」


そんな事おじゃべりしてたら、ゆうちゃんが教室に入ってきた。


「あ~~。一恵~!三月~!おはよう~」


「ゆうちゃん、おはよう~」


「いいな!いいな~ゆうちゃんは~朝から彼氏とイチャイチャ通学で~」


(三月ちゃんは本当にうらやましそうだ)


「ふっふっふっ!悔しかったら三月も彼氏作ってみろ~(笑)」


「あ~~~言ったな~!玉の輿の彼氏いつか見つけてやる~~~~!」


「一恵はまだコンクールの絵で忙しいの?」


「うん、なかなか上手く仕上がらなくてね」


「そっか~。でも、ゆうは一恵の絵が大好き!素人の私ですら引き込まれる魅力があるから。でも無理はしないでね」


「あ・ありがとう!ゆうちゃん!私、頑張るね!」


ゆうちゃんの一言でよりいっそう頑張れる気がしてきた。

今日の放課後、いつも通り土手沿いの方へと足を運んだ。

何枚か絵の方は完成しているけど、私なりの手ごたえがまだ無く軽いスランプ状態に入っている。


「う~ん。難しいな~どうしたらもっと上手く描けるかな~」


そんな事を思いながら時間だけが過ぎる。


「あっ。もう17時30分か~」


辺りはもう夕暮れ時、そろそろ帰り支度しなきゃと片付け始めたとき、フッと1台の自転車が私の近くを通り過ぎた。


(あれ?どこかで見かけた人だなぁ。ウーン・・・)


「あっ!もしかして、ゆうちゃんの彼氏、光武君のいとこの横井君?」


カラオケ行ってから、しばらく時間経ってるから確証が持てないし違っていたら恥ずかしいし、で、声は掛けられなかった。


次の日。また土手沿いの方に、絵を描きに行った17時30分頃、昨日の自転車が通り過ぎて行った。


(間違いない!横井君だ)


カラオケの帰り道に、少しおしゃべりした程度だったけど、何だかすごく悪い事したなーと心残りだったから、もう一回謝ろうと思い、勇気を持って話掛けてみようと思った。


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