実家で祖母の話を聞いた ー結ー



ただ文房具を持って帰るだけのはずが、気がつけば夕方になってしまいました。



日は傾き、外は少し暗くなっています。



窓から外を見れば曲がりくねった桜の木がいやにめにつき、視線を逸らせば、廊下を挟んだ先にある薄暗い仏間と目が合いました。



「そろそろ帰るね。」

「もうこんな時間かね。気をつけてね。」



数年前までしゃきしゃき歩いていた祖母は、少し足を引きずりながら私の後を追って玄関まで来てくれました。




手すりを掴み、立って笑顔を浮かべる祖母。


昔は黒かった髪が、白髪が混じり灰色になっているのに気づきました。




「染めないの?」

「ああ、肌が荒れるから染めないのよ。」

「そうなんだ。…じゃあ帰るね。また来るね。」

「またね。気をつけてね!」





私は玄関で見送る祖母に手を振って、

重いドアを閉めました。




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