実家で祖母の話を聞いた ー結ー
ただ文房具を持って帰るだけのはずが、気がつけば夕方になってしまいました。
日は傾き、外は少し暗くなっています。
窓から外を見れば曲がりくねった桜の木がいやにめにつき、視線を逸らせば、廊下を挟んだ先にある薄暗い仏間と目が合いました。
「そろそろ帰るね。」
「もうこんな時間かね。気をつけてね。」
数年前までしゃきしゃき歩いていた祖母は、少し足を引きずりながら私の後を追って玄関まで来てくれました。
手すりを掴み、立って笑顔を浮かべる祖母。
昔は黒かった髪が、白髪が混じり灰色になっているのに気づきました。
「染めないの?」
「ああ、肌が荒れるから染めないのよ。」
「そうなんだ。…じゃあ帰るね。また来るね。」
「またね。気をつけてね!」
私は玄関で見送る祖母に手を振って、
重いドアを閉めました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます