第25話 始動
暗い暗い大きな部屋で、その者たちは集っていた。
「それではこれより、本格地球侵略会議を行う」
偉そうに気色の悪い肥満体型の男が言う。
「「「「はっ!」」」」
「まず、私たちのところに来た魂が圧倒的に少ない。これの原因は?」
男が聞くと、それに答えたのは骸骨だった。
「はい。この地球で活動している魔法少女と呼ばれる者たちが魂の刈り取りを邪魔しています」
「では、魔法少女についてわかっていることは?」
続けて男が聞くと、骸骨は顎の骨をカタカタ鳴らしながら言った。
「貴奴等、戦闘力に大きな差があります。強いやつもいれば、弱いやつもいるみたいです。また、乱戦にはなれていないらしく、そのほとんどが規律だった集団戦です」
「ふむ。ならば乱戦にするか、一人のところを狙うかだな.......」
骸骨の言葉に思案する男。その傍らに突如として魔法使い風の男が現れた。
「―――クケケケ。ならば一人のところを狙いましょう。戦力を徐々に削っていくのです」
「ふむ?.....そうだな、それにしよう。ではこれで対策は良しとしよう。次に――――」
こうして、更なる侵略が行われることとなった。
一年をかけて準備をして、そして今回。
嘗て無い被害が訪れるであろう。
何故なら―――、
――――〈
◇◆◇
このところ、〈怪物の侵略者〉の出現が多い。まるで、本格的に侵略をし始めたような感じだ。
実際の所そこまで危機感があるわけではないが、何かがあるとしか思えないのが現状だ。
だけど、何もできない。ただ増えただけだし、本拠地が何処にあるのかもわからないからだ。何もしようがないと言った方が正しい。
だから、少し気が抜けていた。
――まさか、こんなことになるとは、思わなかった。
「全員!両手を上げろ!」
幾人かの集団のリーダー格のような男が俺たちに向けてそう叫ぶ。
「いいか、絶対に叫ぶんじゃねぇぞ!」
腰のホルスターから銃を取りだし、上に向けて発砲した。
パンッ!
バリンッ!
弾が蛍光灯に当たり、割れる。
「「「キャアアアアッ!!」」」
多くの女子が恐怖で声を上げる。黒ずくめの男たちはそれをニヤニヤと眺めた。
「おい。移動させろ」
そうしてクラス全員が移動させられた。行き先は体育館だそうだ。
他にも生徒がいる筈....と考えたら、体育館に移動させられていた。
そこには大勢の生徒がおり、集団でこの学校をジャックしたことがよくわかる。
学園もののラノベのテンプレ的展開だ....。実際に体験するとは思わなかったけど。
リーダー格の男が壇上に立ち、マイクを持って喋り始める。
『よし。良いかお前ら!俺たち【
「「「「「オオー!!!」」」」」
『今から楽しい楽しいパーティーの始まりだゼェ!』
うわー......。クズだ.....。
これは早めに出た方が良いかな。
コソコソと誰にも見つからないように移動する。
うわっ。扉の前にもいるし...。どうしよ。
体育館のステージの反対側の出入り口には二人の武装した男が警備していた。
う~ん。たぶん他の所も一緒だよな.....。
少し考える。と、突然目の前の扉が開いた。それに、武装した男達も驚く。
入ってきたのは―――なんと言うのか、金髪リーゼントを持つ、魚だった。正直言ってキモい。
「
いや、わかんないのかよ!?知ってて来たんじゃないの!?
辺りを見回すリーゼント魚。それに
リーゼント魚は体育館に入ってきた。近くの生徒はそれを見て、体育館の奥に逃げようとするも、前にも人がいるので思うように進めない。
「「「「キャーーー!!!」」」」
『なんだ!?おい!静まれ!』
混乱の坩堝に陥る体育館内。生徒たちの恐慌と、不安に駆られたジャック犯達。
僕はその隙に物陰へと入り、クロノアに呼び掛ける。
「(おい!クロノア!)」
『ええ、わかっているわ!』
「よし、『変身』―――!」
そして俺は、魔法少女になった。
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