第23話 野外活動・戦闘
入り口にバリケードを張って入れないようにする。と言うかしてた。先生達が。
俺も手伝おうとしたら断られた。悲しい。
「全員いるな!」
今は講堂で点呼をとっていた。
勿論全員いる。
「あともう少しすれば魔法少女が来るからそれまで待機だ!」
「「「「「「はい!」」」」」」
皆元気いいね(困惑)。
あれかな、彼女等はそんなに警戒されてないのかな。現れたときの印象が強すぎて。
緊迫感が全くない。
しかし、これで二回目だね。他の魔法少女の戦闘を見るのは。
ちょっとドキドキしてる俺がいる。
あれ?俺もそんなに警戒していないのでは?(今更)
ドガンッ!ドガンッ!
「ちょっと!入れてよ!」
先生達がバリケードを張った所から声と音が聞こえた。
誰が入れるか!あんた敵だろ!?
「少し離れてろ.........!」
「わかった」
ん?何かするつもり――――、
バゴオオオォォォオオオンッッッ!!!
バリケードは派手な音を立てて吹っ飛んだ。
バリケード攻略が早いよ.........。
「――なっ!?」
先生達はバリケードを破壊されたことで、言葉が出ないようだった。そして、あのサキュバスの声が響く。
「どーこかなー。あっ、こっちから匂いがする」
どういう臭いだよ。犬かよ。
それから数十秒経って、俺たちのいる講堂に入ってきた。
「みーつけた♥」
「ハァ..........クソッ。何でこんな目に........」
サキュバスは嬉しそうに。魔女は悪態を吐きながら、肩を上下させている。
「くっ!魔法少女はまだなのか!?」
――――出た方が良いのだろうか。
このままだと皆(主に男子っぽい)がサキュバスの餌食になるかもしれない。
だけど魔法少女が来るって言ってるし。あんまり身バレしたくはないし...........。でも、そんなこと言ってる余裕が――――、
と、俺がずっと思案していると、サキュバスが動いた。
俺たちを庇うように前に出ていた、肥満体形の先生に襲いかかる。
「うわっ!」
先生は顔に何かを付けられ、驚きの声を上げた。
「――
女性教師がサキュバスに何かを付けられてから何も言わない山形先生に問いかける。
呼び掛けられた山形先生は声に反応するように、ユラリと体を反転させる。その頬には赤いハートのシールが貼ってあった。
山形先生は突然、カッと目を開き、近くにいた女子生徒に近づいていく。
「ちょっ、な、何..........?」
女子生徒は後ずさる。だが、その速度はあまりにも遅く、すぐに先生に追い付かれた。
もちろん、俺はそれを黙って見ているわけもなく。山形先生と女子生徒の間に体を割り込ませる。
「えっ...........」
女子生徒が声を出すが、そんなのは今どうでもいい。今はどうやって先生を無力化するかだ。
山形先生が少し距離をとる。誰もがその行動に疑問を浮かべるが――――、
――――山形先生は走り出した。
「―――っ!」
タックルか!
そう考えた時にはもうすぐ側まで来ていた。
後ろには女子生徒がいるから避けるのは無し。なら受け止めるか?無理だ。あの巨体じゃあ吹き飛ばされるのがオチ。なら、威力を逸らすしか―――。
そこまで考えて、備える。
後少しで激突する。誰もがそう考え、幾人かが目を逸らしたり、瞑ったりする。
だが、誰もが考えた光景は起きなかった。
なぜなら―――、
「はい!ストップ!」
――――
◇◇◇
俺の目の前に現れたのは、赤髪の少女だった。服も全体的に赤色で、まさにプ○キュアと言った衣装だ。――――魔法少女じゃないの?
「私の目の前で悪事なんて許さない!」
その台詞もプリ○ュアにありそう。
俺は彼女が先生と対峙している間に、女子生徒と一緒に抜け出した。
ところでさ、今全然関係ないけど、何で俺が助けるのはいつも女子なんだろうね?なにか作為的なものを感じる。
タックルは赤髪少女が障壁を出して止めた。その後がさっきの台詞だ。
「さぁ!観念しなさい!」
赤髪少女がステッキ(プリキ○アにありそうなキラキラしたの)を振り、ステッキの先端に炎を出現させた。そして、ステッキの頭の部分(なんか炎の絵がかかれた棒の先端)で山形先生を殴り飛ばした。
――――殴り飛ばした。
「――――」
これには味方も敵も言葉が出ない。
炎を先端に出したのにそれを何に使うわけでもなく、ただの物理攻撃で終わらせた。
俺は彼女に言いたい。ねぇ、魔法は?と。
とりあえず、山形先生はさっきの一撃で沈黙。残るは魔女とサキュバスだけだ。
「さぁ、行くわよ!」
赤髪少女はそのまま火がついたステッキを振り回しながら、走り出した。
「イヤイヤイヤイヤ!おかしい!おかしいぞッ!?」
魔女が逃げながら言う。俺もそう思う。
「ちょっ!何で魔法使わないのよ!」
サキュバスが逃げながら言う。俺もそう思う(二回目)。
「魔法なら、使ってるじゃないっ!」
え?え!?ま、まさか―――、
「ほら!このステッキの先端の炎!」
「――――」
一同、絶句。
敵である魔女とサキュバスでさえも、憐れんだ目を赤髪少女に向ける。
いやー。うん。魔法の規模は人それぞれだよね。うん(華麗な手のひら返し)。
「クッ、こんの~!そんな目で私を見るなーッ!」
ちょっと涙目で加速する赤髪少女。
ごめんなさい。俺は今精一杯彼女に謝りたい。魔法の威力が小さいから、彼女は物理で殴ったんだ。それを俺は..........!
少し自己嫌悪に陥っていると、彼女たちの戦闘が終わりを迎えようとしていた。
「ゼェ........ゼェ.........」
「ハァ.........ハァ.........」
「フヒヒヒヒヒヒヒヒ」
メッチャ怖い。赤髪少女メッチャ怖い。
魔女とサキュバスは壁に追いやられ、肩を上下させながら荒い息を繰り返しているのに対して、赤髪少女は気持ちの悪い笑みで、意味不明な高笑いをしていた。
ちょっと近寄りたくない。
「何で..........あなた..........フゥ」
「そんなに............ハァ.......体力あんのよ...........っ!?」
「?。さぁ?わからないわ。でもまぁ、これで最後よ!」
彼女のあり得ないほどの体力は彼女にもわからないらしい。
赤髪少女はステッキを振り上げる。そして慈悲を与えぬよう、すぐに振り下ろした。
「【
瞬間。魔女らは魔法の残滓を振り撒きながら、消え去った。彼女らは間一髪で赤髪少女の攻撃を避けたのだ。もちろん、赤髪少女がすでに振り下ろした腕を止められるわけもなく。
ドッゴオオオォォォオオオンッッッ!!!!!
一つの小さなクレーターが出来上がった。
.............どれだけの力が込められてるんだろう。
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