第21話 野外活動・前編


「オンバーって何よ!」


 被っていたフードを叩きつける女性。

 彼女の本名は黒丸影くろまるかげ

 先程会議が終わり、自室に戻った所だった。

 彼女は怒っていた。それはもう色々と。

 例えば、彼女が最初に言った通り、本名とは全く違う名称を付けたこと。

 正直に言って、全くもって似合っていないと、彼女は思っている。実際にそうで、周囲の者達もついつい憐れみの目を向けてしまう程だ。

 似合っていると思っているのは大天使と呼ばれた男だけだ。


「はぁ、とりあえずどうやって襲撃しましょうか」


 黒丸影は暗闇の中で、ベッドに座る。


「あの中から、選ばなきゃ行けないのかぁ........」


 彼女は憂鬱そうに呟く。

 何故なら、この船――宇宙戦艦〈天雲てんうん〉には総勢千人を超える船員クルーが存在する。と言っても、その殆どが戦闘員なのだが。その戦闘員が問題だった。


 一部を除いて、変○なのである。

 その一部もある意味○態と言っても良いのだが(戦闘狂なため)―――。

 まぁ、全ての船員が変t――ゴホン、なのである。


「はぁ。憂鬱だわ」


 もう一度言う。全ての船員が――なのである。

 つまり、彼女――黒丸影も○態なのである。

 そう、今の彼女は―――裸だ。つまり、露出狂なのである。因みに、彼女の部屋は暗闇に包まれている。


「なんであんな○○ピーの所に行かなきゃならないんだか」


 何度も言う。彼女もその○○自主規制に入る○○ピーである。


「あ!そうだわ!あの子にしましょう!」


 黒丸影は何かを思い付いたように手を打つ。

 そして認識阻害付きのフードを被り、意気揚々と部屋を出ていった。

 何故、露出狂が認識阻害付きのフードを被っているのか、わからないと思う。それは、彼女の性格が災い(?)している。

 彼女は恥ずかしがり屋なのだ。

 恥ずかしがり屋なのに露出狂とは意味がわからないだろうが、そうなのだから仕方がないのである。


◇◇◇


 さて、やって参りました野外活動。

 野外活動の初日は、午前中に指定の場所まで行くこと。まぁ、ここら辺はある意味皆と同じだろう。

 とりあえず、俺は今、班の皆との集合場所である、駅前にいる。友久も一緒だ。


「まだ8:00かー」


「流石に早かったか?」


「かもねー」


 二人で話ながら皆を待つ。

 それから数分後、弓八君が来た。


「おはよー」


 と、俺。


「おはよう。弓八君」


 と、友久。


「お、おはようございます」


 と、弓八君が挨拶する。


 更に30分が経ち、女子三人組が揃った。


「おはー」

 俺。

「皆、おはよう」

 友久。

「お、おはようございます!」

 弓八君。

「おっはー!」

 四外神。

「おはようー」

 小桜さん。

「おお、おはようございます!」

 茶杏院さん。


「よし。全員揃ったね。それじゃあ出発しようか」


 友久が言って、俺たちはゾロゾロと目的地まで歩き出した。



 ところで、俺がリーダーの意味ってある?


◇◇◇


 道なりに沿って進む。と言っても、前の方に同じような人達がいるからあわせてるだけなんだけど。

 もちろん、移動中に会話が無いわけでもなく。


「ねぇねぇ。弓八君の趣味って何?」


「あ、え、えっと。げ、ゲーム、です.........」


 四外神が弓八くんに聞く。対して、


「茶杏院さん。大丈夫?さっき転けそうになってたけど」


「ふぇ!?あ、ありがとうございましゅ!」


 友久が転けそうになってた茶杏院さんを気遣っている。

 コミュ力高いな~。二人とも。

 では小桜さんは?と言うと――――、


「本当にこっちの道で合ってるのかな」


「んー。今ってここら辺だよね?」


 俺と道の確認をしていた。

 前の班と同じように歩いていたが、地図とは別の場所に来ていた。


「あれ?本当に、此処?」


 後ろにも幾つかの班がついてきている。

 俺達の会話を聞いていたのか、皆が口々に言う。


「まぁ、大丈夫じゃないかな?」

 と、友久。

「大丈夫だよー!」

 と、四外神。

「た、たぶん。大丈夫じゃないかな?」

 と、弓八くん。

「あ、えと。その、分からないです.........」

 と、茶杏院さん。

「んー」

 と、小桜さん。

「えぇ~?本当に?」

 と、俺。


 そのまま、道なりに沿って前の班と同様に歩き続けること十分後。


 見事に道に迷いました。(フラグ回収)


◇◇◇


 近所の人に聞いて進むことになり。何故か森の中を進んでいた。何を言っているのか分からないと思う。


 ―――俺も何を言っているのか分からない。


「な、なぁ。こっちであってるのか?」


「そ、そうなんじゃねぇ?」


 他の班の人もいる。

 延々と坂を登り、度々休憩を入れている。


「うぅ。疲れたよー」


「休憩しよ~」


 さっき休憩したばっかじゃん........。

 あ。丁度良いところに木の椅子がある。


「あー。じゃあ、彼処で休憩しよっか。俺はちょっと先見てくるから」


 女子達にはキツいだろうから休ませるか。


「あ、じゃあ俺も」


 友久が賛同する。


「友久もか?なら俺も――――」


 名も知らぬ男子生徒が立ち上がるが、別にそこまでの人数は要らない。って言っても三人だけど。


「あー。別にそんなに要らないから。二人だけで良いよ」


 と言うわけで、友久と一緒に歩く。いや、登る?


「友久、ありがと」


「いいよ」


 やっぱり友久はいい奴だなー。持つべきものは親友だな!―――此処で使うのはちょっとちがうけど。


「お?道路だ」


 階段を登りきると、すぐ側は道路だった。


「しおり出して、地図見ようか」


 友久に言われて、地図を見る。


「あ!此処って今ここら辺かな?」


「確かに、そうだな。近くにドラッグストアあるし」


「――ってことは?」


「―――うん」


「やったあぁぁぁあああッッ!!」


「よっしゃあ!」


 やっと抜け出せた!

―――――――――――――――――――― 

因みに、これは作者が体験したことでもあります。あのときは本当にどうしようかと。

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