第20話 野外活動前
とりあえず、残り一人になった。
女子三人は、四外神さん。小桜さん。茶杏院さん。
男子は、俺、弓八君。
なので、後一人男子を入れれば終わりだ。
チラリと友久の様子を窺う。
「ゴメンね。誘ってくれるのは嬉しいんだけど、一緒の班になりたい人がいるからさ」
あれ。さっきと言ってることが微妙に違う。友久のことだから一言一句同じなのかと思った。(偏見)
「なんだー」「しょーがねーなー」「んじゃあまた今度でー」「ええー!良いじゃんかよー!」
皆すぐに理解を示してくれるんだな。良いクラスだ。――一人だけ食い下がってるけど。
その人は他の男子に抑えられた。
「はいはい」「こっち行こーな」「少し黙ってよーな」「おい。そっちの足持て」
――――。え?何?なんかメッチャ怖いんだけど。
「なぁ、優希」
「え?あ、何?」
ちょっと抑えられた男子が気にかかって、友久が近づいていたことに気づかなかった。
「俺を優希の班に入れてくれないか?」
「良いよ」
俺は即答する。だって、友久の為に一枠空けといたからな!
「ありがとう」
友久が仲間になった!
これで6人の班が揃ったな!
やっと、終わったぜ!(泣)
「とりあえずリーダーは?」
「友久かなー」(by俺)
「優希」(by友久)
「優希君かな!」(by四外神)
「あ、その、ゆ、優希君が、良いんじゃないかな」(by弓八)
「........優希君が良いと思います」(by茶杏院)
「4:1で優希君がリーダーだね」(by小桜)
いやいやいやいや。待て待て待て待て。
「何で俺!?あと、小桜さんは意見言ってないよね!?」
「んー。まぁ、そうだけど。皆優希君を押してるから。それに4:2になったところで覆せないよ?」
そうだけど!(泣)。何でだよ!
「私も優希君で良いかなって思ってるからこれで5:1だね」
待って!ほんと待って!何で!?
「じゃ、じゃあ。理由!正当な理由を言ってください!そうじゃなきゃ、やらない!」
「なら、優希から言って」
え!?え?何で?
「言い出しっぺ」
クソがッ!!何でそんなこと言ったの!?俺の頭可笑しいんじゃない!?
「...........友久は纏めるのが上手いから」
「ありがとう」
ありがとう言うな!恥ずいわ!エエイッ!早く次に行け!
「ほら!友久の番だぞ!」
俺が友久に振ると、友久は即答した。
「優希は気遣いができるからな」
――――。
これ、言われる方も恥ずかしいな。
きっと俺の顔は今真っ赤だと思う。
「私もそう思う!」
「気遣いだけでリーダーが務まるかッ!」
「あれ!?御手洗君と私の間に扱いの差があるよ!?」
「当たり前だろ!同じこと言ってんだからなっ!」
便乗しているので当然だ。
◇◆◇
仄かな青い炎が明かりとして使われているほの暗い部屋。
人の顔が見えるか見えないかぐらいの暗闇で、ソレらは会議をしていた。
「―――して、最近、戦果を上げられていないようだが」
一番上座に座る、でっぷりと太った形容しがたい何かが耳障りの悪い声で、威厳のようななにかを漂わせながら言う。
「も、申し訳御座いません。〈大天使〉様」
「不甲斐ないばかりです」
「すみません」
「―――」
それに、様々な反応を示しながら、そこに集められた者達がいう。
一人は、人形の骸骨のような者。カラカラと音を鳴らし、丁寧な言葉遣いをする。
一人は、筋骨隆々の者。先程不甲斐ないと言った者で、武闘家のような雰囲気を漂わせている。
一人は、ヤンキーのような者。時折、パチッと体に電気が流れ、面倒臭そうに背に
一人は、ローブを被った者。その者の顔は影で見えず、何の言葉も発さずただユラユラと揺れているのみだ。
「ああ、でも。何処かの中学校?と呼ばれる人間共が集まってるやつが近頃何処かに出掛けるそうで、その時を襲えば大勢の魂を集められるのでは?」
カラカラと音を鳴らしながら、骸骨は言う。
「む?そうなのか。では、誰が行く?」
〈大天使〉と呼ばれた者が、聞く。
それに反応する者は無く。
骸骨は黙して動かず。
筋骨隆々の者は目を閉じて筋肉をピクピク動かし。
ヤンキーは何かしらの端末を操作しながら黙している。
そこで、スッと手を上げる者がいた。
それは―――、
「お?オンバーが行くのか?」
「――」
オンバーと呼ばれたローブを被った者がこくりと頷く。
「ならば、オンバーが行くことに異論があるものはいるか?」
「フーム?オンバーよ。大丈夫なのか?」
骸骨が言う。
「――」
大丈夫だ、と言うように頷く。
「行くと言うなら止めはせん」
筋骨隆々の者が言う。
「いいんじゃないですかね」
ヤンキーがかったるそうに言う。
「異論は、無いようだな。ならば、オンバーよ。ソナタに任せよう」
「――」
こうして、新たなる波乱が巻き起こる。
――――予定である。.........多分?
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