第19話 班分け
東間中学一年生の5月にはとあるイベントがある。
「そう!野外活動!」
そうこの5月の下旬頃に野外活動と呼ばれる一泊二日の親睦会がある。
「はいはい。四外神は落ち着こうな」
「さて、5月の中頃になった今。四外神みたいに行く準備をしている奴はいるか?もうそろそろだからちゃんと準備しとけよ。今日のホームルームは、野外活動時の班分けだ」
班?
「班分けは、
ただまぁ―――、野崎先生はそう続けて、ニヤッと笑った。
「―――ゲームとか飯盒炊爨の出来が良いと、色んなことがあるみたいだが、な」
ちゃんとそこんところ考えろよー、と言って教室を出ていった。―――どこに行くんだあの人。
教室に残された生徒達は動かない。突然言われたのもそうだが、入学してまだ一ヶ月だ。それに、幾人かが魔法少女学園へと編入していったから、そこまで仲の良い人が作れないだろう。―――中学から同じ高校に上がったやつら以外は。
「ねぇ、
「うん―――」
と、俺が答えようとした途端、女子達が一斉に集まってきた。その衝撃で、俺はペイッと自分の席から放り出された。
「――――」
うーん。なんだかなー?いや、別に良いんだよ?良いんだけど、なんだろうねこの気持ち。いやーしかし、やっぱりモテる男は違うね。
「友久クンと同じ班になりたい!」「私も!」「同じ班にしてください!」と、友久の席から女子の声が聞こえる。
因みに男共は、既に男同士で組んでいる。
「あ、そうそう。班は男子三人女子三人の組分けな。そいじゃ」
突然ガラッと扉を開け、野崎先生は爆弾を落としてすぐにまた戻った。―――だから、あの人は何処に行くんだ。
これによって、教室内は
「あっ!ねぇねぇ!
四外神が俺を呼ぶ。
「ん?何?」
「一緒の班にならない?」
「良いよ」
俺はすぐ答えた。自分から誘う方じゃないからね。誘われたら行くタイプ。
「やっぱダメ.........え?良いの?」
え?むしろ何で断られる方考えてたの?
「いや、別に断る理由も無いのに何で断られると思ってるの?」
「いやー。だって..........の、ね」
なんだよ。
「あんまり人と関わるのが嫌いな人なのかな、と........」
お前普通に話しかけてくるよな?今更過ぎじゃあ?
「あ!後、他にもう一人女子がいるんだけど大丈夫?」
「ん?うん。大丈夫だけど。今のところ誰にも誘われてないから」
そう.........。今のところ、ね。誰も、寄ってこないの(泣)
「あっ(察し)」
さて、友久はどうなったかな?
俺が友久の方を向くと、友久は両手を前に出しながら、イケメンな台詞を言っていた。
「ゴメンね、先に班に誘いたい人がいるからさ、その人誘ってからで良い?」
「えー」「わかった」「じゃあ、まだ空きがあったら誘うね!」と、女子は各々の反応を示しながら解散していった。
友久が此方に来る。
「ねっ、優希。一緒の「なぁ、友久!一緒の班にならねぇ?」.........」
友久の台詞が他の男子に遮られた。お前ら話聞いてなかったの?友久苦笑しちゃってるじゃん。
俺は溜め息を吐いた後、周りを見渡す。
続々と決まっているようで、既に何グループかできていた。
その中で、ポツンと二人ほどはぐれた人たちがいた。男子と女子で、どちらも離れた席にいる。
ふむ。よし、行くか。
「あ、四外神!と.........」
四外神が連れてきた女の子の名前が思い浮かばなくて、詰まってしまった。
「あ、
だが、すぐに答えてくれた。小動物みたいな可愛らしい人だ。茶髪に黒い大きな目と綺麗よりも可愛いよりの顔だ。
「ん。小桜さんね。後二人追加しても良い?」
「うん。OKだよ」
「はい。大丈夫です」
二人の許可も降りたので、早速男子の方から向かう。男子の方が接し易いからね。
「あの、ちょっと良いかな?」
「えっ、あ、あの。はいっ」
メチャメチャ挙動不審に返してきた。
え?そんなに驚くこと?
「えっと........
弓八君はボサボサ頭で、髪で顔半分が隠れてしまっている男の子だ。所謂、クラスの陰のような子。
だが、俺はそんなの許容しない。皆明るく楽しく、だ!
「え、あ、いや。ま、まだ。です」
「じゃあ、俺たちの班に入らない?」
俺は弓八君に手を差し出して誘った。
「―――――」
弓八君は黙ったままだ。
ダメだったのだろうか?誘い方がおかしかったか。むぅ。
「あ、あの!」
弓八君が食い気味に声をかけてきた。
「え?な、なに?」
俺はそれに少し気圧されて、どもってしまう。
「ぼ、僕で、よかれ、あ、いや、よ、良ければ!」
弓八君は少し噛みながらも、グループに入るの意思を示してくれた。
よしっ。弓八君ゲット!
「ありがとう!これから宜しくね!」
「は、はい!」
「四外神ー。小桜さーん。弓八君が入ってくれるって!ちょっと親睦深めてて。もう一人誘うから」
「はーい。宜しく!弓八君」
「わかった。弓八君、宜しく」
「あ、は、はい。こ、こちらこそ宜しくお願いします!」
さて、弓八君は四外神さん達に任せて、もう一人――――ある女の子の方に行く。
「ちょっと良いかな?
茶杏院さん――名前が特殊だから覚えてた――は黒髪三編みお下げで丸眼鏡を掛けた、絵に描いたような文学少女だ。実際に本も多く読んでいるみたいだし。
「ふぇ!?あと、えと、え?」
ふぇって言う人初めて見た。と言うか何でそんなに驚くの?弓八君もだけど。何で?この二人が特殊なだけ?それとも俺が特殊なの?
「茶杏院さん。まだ他の班に入ってないなら、僕たちの班に入らない?」
「ふぇぇ!?わ、私ですか!?」
「うん。そう、君」
「え、えと。あの。嬉しいです!」
「え?あ、うん」
そ、そっか?
「あ、いや!違うんです!や、違くなくてっ。えっと、つまり、その、」
「―――入ってくれる?」
「っ!はい!」
なんかいろんなやり取りがあったけれど、これで、後一人になった。
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