第10話 ヒロイン? 登場
どうしてこうなった?
いや、本当に。
どうしてこうなった?(困惑)
よし。今一度整理しよう。
今現在、人気が少ない路地裏にいる。
俺の後ろには、蛙型の怪物(なんか見たことある)の残骸。
今、魔法少女の俺。
その俺に抱きついている泣き顔の可愛い女の子。しかもうちの高校の制服。特徴的な赤のブレザーだ。
よし。状況確認終わり。
もう一度言おう。
どうしてこうなった?(混乱)
◇◇◇
あれから、入学式が終わり、クラスごとに別れて教室に入った。
その後、自己紹介などをして連絡事項も聞き、解散となった。
俺達は、当初予定していた通りにファミレスで昼食をとり、買い物などをしてからお互い家に帰った。
予想通り、親がはっちゃけてちょっとカオスな状況になったりしたが、思っていたよりも大人しかったため、悠々と過ごせた。
その後、
そこにいたのは、以前見たような蛙の怪人と、それに襲われそうになっている何処かで見たことがある少女だった。
と言うかあの蛙本当に前の奴だよね? あの「少女をペロペロしたい」とか言ってた変態蛙。
まぁ、取り合えず助けなければ。
俺は少女の目の前へと降り立ち、蛙怪人から守るように立った。
「む! 何奴!」
蛙が俺に気付き、声を上げた。
「だ、誰!?」
少女も疑問の声を上げる。
これ、言わなきゃだめ? いや、まぁ毎回言ってるけどさ。慣れたね。
「私の名前は魔法少女アーテル! 地球を侵略する怪人よ! 私がやっつけてやる!」
この口上、本当にどうにかならない?
俺、別に名乗りたくないよ? むしろ誰にも見つからずに敵を倒したいよ?
でもこれが普通だって。絶対やれって言うんだよ……。
「あ! 魔法少女アーテル! また来たな!? 今日は前か……」
蛙が何か言ってる時に時を止め、素早く切り刻む。
と言うか、また来たなって、やっぱり前の蛙かよ!?
時を再度戻し、振り向く。
「大丈夫だった? 怪我してない? なにもされてない?」
少女の身を案じて声をかける。
「ふぐ……うぅ……ズビッ……うぅ……」
安堵からか少女は泣いてしまった。
え? どうすれば良いの? これ?
今まで女の子が泣いてる場面に会ったことがないからどう対処すれば良いのかわからない。
因みに、今まで助けた子は皆一様に顔を真っ赤にして鼻息を荒くしていた。……何だか身の危険を感じる視線だった。
「えっと……ど、どうすれば……」
思わず、そんな呟きが漏れた。
「あの……ひっく……助けてくれて……ありがとう……ございます……ぐすっ」
俺がアワアワしていると、少女が涙混じりにお礼を言ってきた。
「ひっく……誰も……助けてくれなくて……誰にも助けを求められなく……ずっと……逃げてて……」
ああ。それは泣いてしまうだろうな。
突然現れた怪人に襲われそうになって、すぐに助けを求めたけれど、誰も取り合ってくれなくて。周りを怪人が襲そう可能性に途中で気づいて、それで助けを求められなくなってしまって、ずっと走って逃げ続けて、限界だったのだろう。足も疲れで動かないようだし、その時に俺が来たから、限界を迎えた。
たった数時間でも、辛かっただろうなぁ。
俺はいつの間にか少女に近寄り、その子の頭を撫でていた。
「よく……頑張ったね。辛かったね。でも、大丈夫。私が来たから、安心して」
俺は少女を優しく抱き締めながら、頭を撫で、微笑みかけ、言葉を紡いだ。
「ぁっ……う、うあ……うわああああああん!!!」
少女は遂に、泣き出してしまった。
そして、冒頭へ戻る。
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