第6話 魔法少女がいる理由
一旦少女を落ち着かせベッドに座らせる。俺は向かい合うように椅子に腰掛け、言った。未だに服装が戻らない。
「その低姿勢になったのも決まりごと?」
少女はこくりと頷いた。
「そう。さっきのあれを止められたら、今度は低姿勢になることって」
「どう考えてもおかしいだろ!? それ!!」
なんなんだ、少女が住んでいた? 場所は。
「それで、魔法少女に成ってくれるの?」
少女は不安そうに聞く。
そもそも、聞く必要は有るのだろうか。だって、一度魔法少女になったらもう成るしかないんだろ? だったら聞く必要はないはず。
「それはこのご時世だもの。相手の権利を意識して聞くことが大切なのよ」
「メチャクチャこの世界に染まった考えだな」
と言うかサラッと思考を読まれた。まぁ慣れたけど。いや、待て。慣れたら駄目なんじゃないのか?
「それで、魔法少女に成ってくれるの?」
先程と同じ文言で迫ってくる。
「いや、ちょっと待ってくれ。魔法少女になる前に聞きたいことがある」
「わかったわ」
少女は聞く姿勢になった。
聞く姿勢ってなんだ?
「一つ、魔法少女っていったいなんなんだ? そもそも少女なのに何で俺がなってるんだ?」
俺は人差し指を挙げて聞く。
「魔法少女って言うのは、魔法を使う中学生から高校生の少女のことよ」
うん。そう言うことが聞きたいんじゃない。あと、俺は男だ。……なくなってるけど……。
「まぁ、あれね。世界的な犯罪者をぶっ潰すのが仕事ね」
ぶっ潰すって……。だが俺は男だ。言うなれば少年だ。いつ戻るの? この服装。
「まぁ大体分かった。二つ目。さっきの鬼はその世界的な犯罪者の仲間?」
「んーと。仲間と言うよりも手下かしら?」
「手下?」
俺がそう聞くと彼女は頷いた。
「そう。奴等が作り出した
創造生物……。また新しい言葉が出てきた……。
「まぁ、創造生物は強くはないから全然大丈夫だけどね」
へー。あれで強くないのか。いや、強くはないのか?
「あー。じゃあ三つ目。その世界的犯罪者集団はなんの目的があるの?」
「そうね。それは今から説明されるんじゃないかしら」
「え? それってどういう―――――」
俺の言葉は続かなかった。
『ピ―――』
突如、町中に空中に液晶のような画面が幾つも現れた。他にも、テレビ、スマートフォン等の情報端末やメディア媒体に空中画面と同じ光景が映された。
そこに居たのは―――、
デブで気持ち悪く、形容しがたい人間? がいた。
「――な、んだ。あれ――」
と言うか、俺が何で魔法少女になったのか答えてなくないの? 未だに戻らないんだけど……あ、戻った。────よし、ついてる。よかったぁ……。
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