取材三

ぼくは本を出版のしたため、テレビ関係の取材に過去三回出演した。まず『ぼく、はまじ』(彩図社)の出版でサイン会の模様をフジテレビ系『めざましテレビ』と、アニメのハマジは実際にいることの取材でテレビ朝日系『決定! 爆笑問題のこれが日本のアニメベスト一〇〇』それと、旧友さくらももこが再婚したことの取材で日本テレビ系『ザ・ワイド』であった。

いずれもいえることは、本物のハマジを映像に収め放映したいことが重々わかった。まあ、それが仕事なのでしょうがない。

ぼくは同じ局の同じ番組はもうないなと思っていた。だが、また取材があった。それはテレビ朝日の『決定! 爆笑問題のこれが日本のアニメベスト一〇〇』だった。その番組のアニメ担当横井さんとは度々メールをやっていた。番組のアニメ担当からは離れたという。今は違う担当者に変わっているらしく、その新任者からぼくに電話が掛かって来た。

 アニメ担当に変わった中村さんはまず、前の担当者から引き継いだことをいい、お願いと相談のためぼくに電話して来たようだ。ということは『ちびまるこちゃん』のことだとすぐわかった。中村さんはぜひ協力して下さいというので、本も出版していることだし引き受けた。

そこのアニメ担当になると、働き者になる。前任の横井さんは何日も局泊まりで、とてもハードらしかった。中村さんもそうかと聞いたら、やはり編集や企画で局泊まりが多いという。ちなみに最近の横井さんは楽になったらしい。

中村さんから今回のお願いは野口と丸尾の出演だった。引き継いだせいか出演はダメなのを知っていた。それなら小学校の卒業アルバムの写真出演はどうかとなり、一応聞いてみることになる。

結果、野口はウンともスンともダメで、丸尾は少し考えたがやはりダメだった。中村さんに報告したら少々残念のようだった。前任の横井さんもいろんな考えをぼくに協力を得たが、八割り方はダメになる。

しかし、中村さんはたまちゃん役の穂波家にあらかじめ電話していたらしい。それはたまちゃんの小学生時代の写真を使って良いのか許可をとったら、許可が出たようだ。やったなと。写真であるがテレビでは初になる。中村さんのアニメ企画は順調なスタートになった。ぼくを通さないし、難易度高いたまちゃんだったから。

彼女は結婚して海外に住んでいる。日本にいないので穂波家の母親に許可を取ったらしい。前任の横井さんは母親じゃなくて、お姉さんに許可をとろうとして断られたのだ。でも、ぼくが取材で行ったときき、お姉さんは良い人で、いろいろと答えてくれた。ぼくの場合は撮影ではないためかも知れない。                          

 それと中村さんはぼくのコメント出演を頼んできた。ぼくはすんなり了解した。過去にも出演しているし、本も二冊出版しているから出ないわけけにはいかない。本当は花屋の徳ちゃんをぼくは推薦したが、漫画にあまり出演してないのでぼくに頼むという。徳ちゃんも出演はすんなりOKするからだ。

今回はたまちゃんがメインでたまちゃんについてのコメント撮りになる。となると、中村さんは清水へ来ることになる。

ゴールデンウィークのまっただ中、当日は雨である。清水駅に午後一時に待ち合わせをした。雨は時折激しさを増すなかか、愛車シビックで清水駅に着いた。階段のところへ立っていた一人の青年に声を掛けた。やはり中村さんである。ジーンズにシャツ姿、中肉中背の彼の顔は何となくパパイヤ鈴木に似ていた。

早速車に乗り、漫画の舞台を一通り見せようと案内した。丸尾の家や徳ちゃん家、花輪の家や元まるこの家などを教えた。入江小学校や入江店街も案内した。そのときには中村さんも少々感動していた。

とりあえずぼくのアパート前の公園に車を停めて作戦を練ることにする。そこで改めて中村さんの名刺をもらう。てっきり横井さんと同じ会社と思ったら違っていた。どうも、いろんな会社が入って番組を制作しているようだ。

ぼくは中村さんにパパイヤ鈴木に似ていることをいったら、初めて言われたと笑っていた。

どこで撮るか考えていたら、公園に樹がありちょうど葉や枝で雨宿りになる。中村さんは『ここで撮りましょう』になった。ここなら移動が省けてらくちんだ。日本テレビの『ザ・ワイド』もここで撮った。あのとききは人もいてやりづらかったが、今日は雨だし誰もいない。

 彼はたまちゃんについていろいろ聞くので、答えてくれとのこと。雨だから素早く準備し、カメラを回す。撮影していると、新幹線が時折通るので三、四回位撮った。内容はたまちゃんの小学校時代の感じや、さくらといつも一緒だったこと。それと現在の状況を話した。

 小学校時代、男子と女子はそんな仲良くないから知っているわけではない。それとなく答えた感じになる。それに穂波やさくらを好きでもないからなー。漫画だと男子と女子が結構仲良くしているが、実際は男子は男子同士遊び女子もそうだ。それに漫画では、さくらや穂波と一緒に遊んでいるが、実は一回も遊んでいない。だからぼくもそんなに知っているわけではないのだった。

これで中村さんの仕事が終わったのではない。帰ったら編集作業を徹夜で行うといっていた。なにか映像を収めた場合、後に編集という作業がある。VTRは編集するセンスによっておもしろくなるか、つまんなくなるかで分かれるようだ。

ぼくの役目は終わり、中村さんを清水駅に送った。帰る間際に少々出演料を出してくれるらしく、口座番号を聞いてきた。ぼくは今までテレビ取材やラジオに出演したが出演料は一度もなかった。つまり中村さんの取材で初めてもらうことになる。出演料が出ることにフリーターのぼくは驚き、遠慮がちな振りでしっかり口座番号を教えた。たまには良いこともあるもんだ。

車から中村さんを降ろしたら、ずっとお辞儀をしていた。ぼくも負けずとお辞儀して別れた。オンエヤーの五月十六日夜七時が楽しみだ。

当日、徳ちゃんなどの少数の身内に知らせた。時間になり観てたら結構、まるこの出番はベスト一〇〇なのに早かった。人気は落ち気味だと感じた。

 観ると『ちびまるこちゃん』の概要から始まり、すぐたまちゃんのことになった。そして、ぼくのVTRが流れた。相変わらず変な顔と思う。たまちゃんのコメントは、わずかか三十秒程。本当はもっと語ったのにと思った。

 コメント終了後すぐに知人から電話があり話しに花が咲く。やっぱ反応があるのだと思った。やはりテレビを観てた知人らは驚いたらしく、経緯を聞いて来た。

その通信高校の知人はぼくがテレビに出たのを初めて観たらしい。本を出していたのも知らなかった。知人にそのことを教え、テレビ出演の経緯を話した。知人は本のほうが驚いた感じである。今回もアニメのため子供がいる友人達は、またはまじがテレビに出たなと思っていたのだろう。間違いない。



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