7-4
「
僕は
「また君か。私は
そう言って
「小鞠さん、大盛況だね」
「ええ、おかげさまで。休む暇もないわ。尊くんは並盛かしら?」
櫻木さんがやや冷たく応じた。
「いや、私は遠慮しておくよ。あいにくラーメンは好みではないので」
聞き捨てならない言葉が聞こえたので僕も口を開いてしまった。
「買わないのかよ。何しに来たんだよ」
橘尊が不機嫌そうな顔で僕を見た。
「私は小鞠さんと話しているといったのに。まあいい。何をしに来たか?決まってるだろう。小鞠さんをお誘いしに来たんだよ。この大盛況じゃ今日の仕入れ分はすぐに尽きるだろう?だからこのあとご一緒できないかと思って」
橘尊は勝ち誇ったような顔をしていた。ラーメンを買う気もないのにあの列に並んでいたことにはさすがにドン引きだ。
「尊くん、あいにくなのだけど予想外の売れ行きだったから追加で仕入れをしたの。業者さんもすぐに持ってきてくれるって言っていたから、今日の閉店まで在庫は大丈夫よ」
櫻木さんの言葉を聞いて、橘尊はショックを受けた顔をしていた。
「ほら、橘尊、買わないなら早く列から出てくれよ。他のお客さんの迷惑になるから」
「と、とにかく小鞠さん、頑張りすぎないように」
「お気遣いありがとう、尊くん。じゃあ」
肩を落として帰っていく橘尊の後ろ姿は見ものだった。
***
「櫻木さん、結局今日はほとんどフルで働いてたんだって?本当にお疲れ様」
文化祭1日目が終了し、僕と櫻木さんは学校からの帰り道だった。
「ええ、お客さんが多かったからずっとサポートしていたの。確かに疲れたけど、すごく楽しかったわ!明日も楽しみ!」
「そっか。それは良かった。それで明日の午後の相談なんだけど、櫻木さん何か食べたいものとか行きたいところとかある?」
「他のクラスでもラーメンを出しているって聞いたから、そこには行ってみたいわ」
「本当にラーメン好きだね・・・わかった。お昼ご飯はラーメンにしよう。あと、僕はお化け屋敷に行ってみたいんだけど、櫻木さんそういうの平気?」
「え、お化け屋敷?」
「うん。なんか本格的ですごいらしいんだよね。ぜひ行ってみたくて」
「そうなの?なんだかおもしろそうね。行ってみたいわ!」
「よし、じゃあその2つは決まりだね。あとは当日適当に見てよさそうな所に行ってみようか」
「わかったわ・・・ねえ水野くん」
「うん?」
「・・・ラーメン食べに行かない?」
「はは、言うと思ったよ。行こう行こう」
こうして僕たちは足早にラーメン屋へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます