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「お洋服って、カゴに入れておけば勝手に綺麗になってクローゼットに戻ってくるのではないのね・・・」
「うん、そうだね・・・。ごめん、僕もうっかりしてたよ。洗濯の仕方だけ教えてなかったね・・・」
この一週間、櫻木さんは洗濯するべきものをため込んでしまっていた。そしてとうとう着るものがなくなりそうになり、僕に相談することにしたのだそうだ。
「お洋服はまだもう少し残っていたのよ。だけど・・・パンツがもう・・・」
「それはまずいね!急いで洗濯しなきゃ!!」
櫻木さんのノーパンを阻止しなくては!
***
櫻木さんの家の洗濯機は例に漏れず最新式で最高級のものだった。AI搭載で洗うものを自動的に判別し、水の量や洗剤の量、洗う強さなどを調整してくれる。そして何よりの特徴はその乾燥機能だ。まるで天日干ししたかのようにふかふかに仕上がり、臭いも全く気にならない。僕の家の洗濯物もここで洗わせてもらいたいぐらいだ。
「これで完璧ね!」
櫻木さんは冷蔵庫に洗濯機の使い方のメモを貼っていた。冷蔵庫の表面はすっかりメモで埋め尽くされている。
「水野くん、これでもう生活に困らないかしら?」
少し不安そうな顔で櫻木さんがこちらを見ている。
「うん・・・掃除、洗濯、料理・・・必要な家事は全部できるようになったと思うよ。スーパーで買い物もできるし・・・完璧じゃないかな」
「本当?よかったわ!」
櫻木さんの顔がぱあっと明るくなった。
「ねえ、水野くん・・・良かったら一緒に新しい制服のファッションショーをしない?」
「えっ、どうしたの急に」
「一人暮らしも何とかなりそうだし、あとは学校に入学するだけでしょう?あれを着て学校に通うのが待ちきれないの!お母様も着ていた制服だし・・・。それに・・・」
「それに?」
「・・・新しい制服って・・・見せびらかしたいでしょ?」
櫻木さんが少し恥ずかしそうに言った。ああ可愛い。
「うん・・・確かに入学前にもう一回着心地は確かめておきたいし・・・わかった、そうしよう」
***
––––ブーッブーッブーッブーッ
「もしもし」
『あ、水野くん。準備ができたわ』
「わかった、じゃあお部屋に行くね」
櫻木さんの提案でなぜか制服ファッションショーをすることになってしまったが、誰よりも先に櫻木さんの制服姿を見ることができるなんて幸運だと思った。僕はすぐに部屋を出て、櫻木さんの部屋の呼び鈴を押した。
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