第19話「穴倉のエルフ(後編)」
「あははははははは」
これが森エルフの聖域?
嗤わせてくれる───。
内部ではわずかに残ったエルフが抵抗していたが、すぐに途絶えた。
今ではすでに掃討戦の様相を呈しており、空挺部隊の兵が部屋という部屋に、確認もしないで手榴弾を放り込んで爆破している。
たまに、物陰に隠れていた神官が反撃に、奇声をあげて飛び掛かってくるも、エミリアによって一刀のもとに切り伏せられるか、空挺部隊のもつ短機関銃によって穴だらけにされて息絶える。
『
カン、カツン…………ズドォォォオン!!
最後の部屋を掃討し終えた時には神殿内は死屍累々の有様。
特に神殿のシンボルらしき、巨大な像の前には折り重なるようにして、エルフの神官が斃れている。
殉教───?
銃弾によるものではない傷から見て、逃げ切れないと悟り、子供らを巻きこんで自害したらしい。
神像の前に山となった死体。
まるで、生贄のようだ。
「あら、たいしたご馳走じゃない? そうでしょ───ルギア」
エルフ神殿の神像──────。それは、あのルギアの顔をしている。
これが偶然だろうか?
それとも、エルフ達の信仰の対象とは───?
大精霊とも、真祖のエルフとも聞くが…………。
「どうでもいいわ。───ただね、」
スラン───……。と大剣を引き抜くと、エミリアは心臓に一気に肉薄する。
「その
ズパァァン!!
……ズズズズ──────ズゥン!!
重々しい音を立てて石造りの巨像の顔が斬り落ちた。
そして、エルフの死体の山を押しつぶし、血だまりが深くなる……。
「エルフでも食ってろ、くそルギア……」
あぁ、ルギア……。
あぁぁ、ルギア──────。
待ち遠しい、待ち遠しいわぁ。
アナタの顔面に拳を叩き込み、
耳にガバメントぶち込んで、
鼻に
口に手榴弾を投げ入れてやりたいのぉ♪
あぁ、ルギア──────……。
「それを夢想すると、濡れるわぁぁ」
うふふふふふふふ……。
可愛いルギア、私のルギア、義妹のルギア──────。
ああ……アナタの顔を、恐怖の連続によって歪ませたい。
ああ……アナタの体を、大剣の膾切りによって切り刻みたい。
ああ……アナタの全部を、
あはははははは……。
「あははははははははははははははははははは!」
残酷に、無残に、悲惨に、殺してやるから待っていろよ───ルギアぁぁぁあああ!!
あーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!
死屍累々とエルフが息絶えたこの神殿で、エミリアの笑い声だけが響いている。
続々と室内を掃討し終えた空挺部隊が集結すると、サティラの姿がないことを告げられて、ニッコリと笑うエミリア。
「結構───……思った通りの、くそったれと再確認できただけでも僥倖よ」
じゃあ、行きましょうか。
サティラ最後の旅路へと。
「おバカなサティラ───。どうやって逃げるつもりかしらね」
クスクスと笑いながら、エミリアは空挺隊員が運び込んできた木箱を見て更に更にと笑みを強くする。
「さぁ、穴篭りの兎狩りの開始よ───」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます