第17話 禍々しい翼

結論から言おう


瞬殺だった

勢いよく振った剣は塵になり、得意の魔法も上位互換の無詠唱で消される


軽い絶望を与え勝負は着いた


さて、A級(笑)を鍛えますかね


「おーいいきてっか?A級(笑)」


「生きてはいるがあの少女はどんだけ強いんだよ」


「魔王ぐらいかな」


「は?」


「いやー人間って本当に驚くと長いこと喋れないんだね!ま、そんな事はどうでもいいんだわ、さて、A級(笑)くん、名前は?」


「あ、はい、カリンです」


俺はその名前に少し違和感を感じたが考えないことにした、なんせ戻った記憶は曖昧なんだから


「おーし、カリン!二代目!ミナス!行くぜ!」


「い、行くってどこにですか……………?」

『げ』


ちょっなんなん?その態度ひどない?

んー?なんで関西弁?もういいや、突っ込んでたら時間がなくなる


「オラ!ボサッとしてんな!カリン!ついて来い無理ならミナスに運んでもらえ!」


「は、はい!」



そう叫ぶと俺の背中から禍々しい翼が生えた


黒でも、赤でも、虹色でもましてや、透明でもない、なんとも言えない色の翼が生えた


周りにいたもの達はこの後

口を揃えてこう言う

“口に出す事がおこがましいほど綺麗だった”と


その翼の色は闘技場にいたものにしか分からず


Sしょうねんは神だったんじゃないか

と言う噂が流れるほど、注目されたと言う


一方、カリンは驚いていた


突然喧嘩を売られてプライドまでもズタボロにされ、ついて来いと言ってきた少年からは

凄まじい翼が生え始める


そんな現実を受け止められるほどカリンの肝玉は座っていなかった




二代目と呼ばれ続ける元魔王事、サータは跪いていた

無意識に、魔族としての血が彼に逆らってはいけないと騒ぎ立てている


あれほど軽く接していた物が化け物級の力をいきなり出した上、余りにも、重かった


サータは、元々魔国のスラム出身で、危険に離れていた


大体の相手ならたとえ格上でも跪くことはなかった


でも、格が違った


まるで神のように包容力のある魔力だった

自らが求める様に、この人に尽くしたいと思うほどに


サータは蓮二を敬った



そんな中五大古龍のミナスは眠っていた

赤子の時に温めててもらった母の温もりを感じたからだ


安全だと、ミナスは本能で感じていた



そんな中蓮二は何事もなかったかの様に


「しくった」


と呟き翼を


「おい!いつまで跪いているつもりだ二代目!いつまで寝てる気だ!ミナス!カリンは………何したんだ?」


呑気にそう言った蓮二の翼は真っ黒な禍々しい翼になっていた





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

A級冒険者(笑)は女の子です



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