第13話 ウィッグ屋

 私はアニメが好きなので大阪に住むことがあれば日本橋で働きたいと考えていた。


 日本橋は東京の秋葉原のような場所で、アニメ系のグッズを取り扱う店が多く、何処の求人に応募しようか悩んだけどウィッグ屋に面接に行くことに決めた。

 私が面接に行こうと思っているウィッグ屋は医療用の鬘ではなく、コスプレイヤー向けのカラフルな色を多く取り扱う店だ。

 アニメの知識には自信があったのでたぶん接客には困らないだろうと安易な考えだがアピールポイントにはなると思った。



 当時、店長が面接を担当してくれた。



 ウィッグ屋の店長さんは髪の毛を赤く染め、服装も派手でビジュアル系が好きなんだろうなと一目でわかった。

 私の履歴書を店長さんが確認する。


「福岡の人?俺も福岡生まれ!なんで此処に面接来ようと思ったと?」


 見た目は怖さそうだけど、気さくななお兄さんの言葉に緊張がとけた。

 話を聞くとオーナーも福岡の人らしい。

 出身が同じ県だったので、面接はあまり緊張することなくスムーズに終わり後日採用か不採用かの連絡を入れてくれるとのことで大阪に来て初めての面接は無事に終わった。



 翌日、採用の電話が掛かってきた。



「いつから働きに来れそう?」


「いつからでも大丈夫です!」


「それじゃあ、急やけど…明日から来てもらってもよかね?」


「わかりました!明日からよろしくお願いします!」



 明日からはじまる仕事が楽しみで仕方なかった。

 アニメ好きの人が多く来る場所なら友達もできるかもしれないとワクワクした気持ちしかなかった。

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