第12話 幼い頃
私が幼い頃の話だ。
お父さんは病気で倒れるまでラーメン屋を経営していて夜は基本家にいなかった。
19時頃、荷物を置きに家に帰ってくる時に私に録画したアニメや借りてきたビデオを渡してくれた。
お父さんが仕事に行くのが嫌で泣いていたからだと思う。
朝になるまでお父さんは帰ってこない。
寂しくさせない方法の一つとしてビデオを選んだんだと思う。
お父さんのお店でキッズステーションを契約して一話から始まる再放送の古いアニメを録画してくれていたからアニメを好きになった。
家でキッズステーションを契約しなかったのは祖父がアニメが嫌いだったからだと思う。
今ではDVDが当たり前の時代だけど、当時ビデオが主流の頃は洋画をレンタルする時お父さんは字幕で観るけど、私が観やすいようにと吹き替え版も借りてくれていた。
昔は今のように吹き替えと字幕は一緒に収録されていなかったので同じ作品を二本借りてくれた。
お父さんは子供向けだろうと軽い気持ちでチャイルドプレ◯やジェイソ◯などホラー系を観せてきた。
幼い私には刺激が強すぎてトラウマになって子供の頃よく夢に出てきた。
母は21時頃になるとお父さんのお店の手伝いに行くと言って家から居なくなる。
母が居なくなる前に眠れたら怖くなかったけど夜中に目を覚ましたとき、お父さんやお母さんがいない寂しさや薄暗い部屋の灯り、部屋の天井のシミ、怖い映画のシーンを思い出して兄を起こして祖父と祖母のいる部屋へ向かう。
兄が先に目を覚ました時は兄が私を起こしてくるので、このことで喧嘩をしたことはない。
私が小学一年の頃までは夜、祖父と祖母の部屋によく行ってたと思う。
歳を重ねる毎に夜の怖さは徐々に減っていった。
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