第11話 大阪 ゲストハウス
父親は入院中で祖母も施設に入っている。肉親の兄とは連絡がとれないので不動産屋で賃貸を借りるには審査が厳しく私はゲストハウスを選んだ。
私が当時、暫くの間住まわせてもらっていたゲストハウスは審査が緩く18歳以上ならお金さえ払えばすぐに住むことができた。
ゲストハウスの最終的な契約を済ませて私は持ってきた手荷物を部屋に置きに行った。
あまり物を持っていなかったので段ボール4つが今日の夕方頃、ゲストハウスに届く予定だ。
大阪に来て誰一人友達も知り合いもいない環境だったが不安な気持ちは一切なかった。
むしろワクワクした気持ちでいっぱいだった。
夕方、届いた荷物を部屋に運び込んでリビングに向かうと10人程人がいた。
私は部屋の中に入って挨拶する。
ゲストハウスだから外人が多いと思っていたがリビングにいたのは全員日本人だった。
20代〜30代前半くらいの男女。
少し会話してみたけど、皆さん明るく愉快な方々ばかりで少しホッとした。
夕飯の材料をまだ買っていなかったので食事をご馳走になった。
和枝ちゃんやトミエおばちゃんが作ってくれるご飯は和食が多く、取り分けできるように大皿に盛られた洋食の数々に驚いたことを今でも覚えている。
お姉さん達が一人一品ずつ用意したみたいで量はかなりあった。
みんなでテーブルを囲んで食べた食事は、まだ家族が全員幸せに過ごしていた頃の時間を思い出させてくれた。
大阪に来て良かった。
18歳の冬、もうすぐ19歳になる。
成人式まで残り1年。
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