Rhapsody In Blue
橘 雨月
ペットも人も放し飼いが丁度いい
『流星群が来るんだよ、迎えにいく』
そう彼は言った。
独占欲の強かった彼は、私の知り合いが誰もいない場所で部屋を借り、
私とそこへ住み、私を家に閉じ込めた。
彼が仕事でいない間に抜け出すことは簡単だったが
私は、それをしなかった。
『料理は出来ないし・・・家事全般苦手なんだ』と言った私の嘘を信じて、
毎日食事を作ってくれた。
酒を飲んでいると、食事をしない私は、いつも食べなかった。
たまに、私が米を炊いたり、洗濯していると、とても喜んでくれた。
彼は、飽きもせず毎晩、私と身体を交えた。
私達の身体は、元が1つであったかのように、とてもよく馴染み
毎晩、何度も飽きることなく眠るまで交わった。
そんな生活が1ヵ月も過ぎた頃、
彼は、夜な夜な友人と遊び歩くようになった。
誰にも会わず家から出ない私に安心したのか、飽きたのか。
独占欲のない私には、どちらが正解かは判らないし聞く気もなかった。
調度そんな頃、元居た場所から仕事復帰の誘いが来た。
彼は私が戻る事に反対せず、自分は今は戻らないと言った。
あっけなく私は、部屋の外に出された。
独占欲とは、そんな程度のものなのか、と少しガッカリもした。
仕事と自由を取り戻した私は、仕事をして酒を飲み
仕事の後も大いに飲んだくれた。
『流星群が来るんだよ、迎えにいく』
そう、彼から連絡が来たのは、まだ戻って3日目だった。
3日と耐えられず呼び戻す程、彼は1人が淋しかったのだろうか。
彼の元に戻ってから、また毎晩のように私達は交わった。
私達は元が1つであったかのように、相変わらずよく馴染み
飽きることなく交わった。
今回は、どのくらいの間、彼は私を独占すれば気が済むのだろうか。
そして何日で呼び戻すのだろうか。
元居た場所に2人で戻ってからも
彼は私を独占し、手放し、独占し・・・
そして彼は、私を放り出し、彼を独占したい女の子を選んだ。
もう、どこにいるのかさえ知りえもしないけれど
流星群が来るたびに、彼は幸せになれたのかを思う。
きっと幸せにはなれないだろう。
彼も彼が選んだ彼女も、独占した先は考えていないのだから。
最後に、もう1回ヤっておけば良かったかなと
結局、1度も観た事はない流星群が来るたびに思う。
Rhapsody In Blue 橘 雨月 @akorin74
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