第9話 世界観の説明
「皆さんおはようございます。さぁ今日からさっそく授業です。今週は通常よりも授業時間が短いので全ての時間が座学になります。基本知識の復習とこの星の歴史、そしてこの学院でのルールを説明します。皆さん集中してしっかり聞いてくださいね。
それではまず魔法について復習しましょう。
皆さん火・水・地・風の四大元素はご存じですね? これが魔法の基礎となります。この四大元素魔法は私達の生活にも大いに関係している魔法です。その上位魔法として氷や雷、光や闇といったものがあり、また極めて扱いが難しく使える者が限られる重力や空間といった魔法があります。
魔法の発動は魔導具を使うやり方、詠唱と無詠唱の3パターンがあります。
魔導具は形や性能が様々で、自分に合った物を使うことで己の能力を補助して安全に魔法を使う事が出来ます。
詠唱は魔法陣を一から形成するため発動時間が掛かり、失敗や暴発のリスクも高いです。しかし、限界はありますが発動魔法に己の能力や魔力量が足りてなくても知識と技術でそれを補うことが出来ます。
無詠唱、別名詠唱破棄は即発動が出来る代わりに一定以上の魔力量と魔力操作が絶対条件となります。己の能力に完全依存するため、安全に発動できますが己の能力以上の魔法は使えません。
次は魔法の付与についてです。
主に白魔法使いが得意とする
そしてこれは最も重要な事ですが、魔法の発動時、声に魔力を乗せて名称を発する事でその魔法をこの世界に固定し威力を高めて放つ事が出来ます。
例えば、ただ火の魔法を放つだけではそれは
まぁ難しく考えず、魔法を使うときは名称を発すればその魔法の威力が上がると思って下さい。
他にも回復魔法や召喚魔法、精霊学や多重付与など様々な分野がありますが、とりあえず魔法の基礎についてはここまでとします。
それでは次にこの学院のルールについてお話します。
まずこの世界での共通ルールとして、強大な魔法や過大に影響を及ぼすような魔法の私的使用は固く禁じられています。これはこの世界の頂点に君臨する二名の大元帥と八名の元帥によって厳しく監視されており、緊急時などの例外を除き、使用の正当性なく違反した場合は厳罰に処されます。
この地にある全ての学院でも同じような共通ルールが存在します。
そもそも学院の敷地内において許可なく魔法を使用する事は禁じられています。もちろん武器も同じです。これは教師陣は元より、風紀委員や生徒会が厳しく監視しています。
ただし緊急時や正当性のある事柄に対しては例外となり、又私的利用でも一定以下の魔力を使用するものであればそれについての許可は必要ありません。
その量は使用時に腕輪が測定し警告を出してくれるので、警告が無い場合は使用可能と判断して頂いて大丈夫です。
では通常時、威力のある魔法を使用出来るのはどのような場合か。それは以下の三つの場合に限られます。
1、教師が管理監督下に置いた授業内
2、学院の特殊訓練施設内
3、
この三つのうち二つは読んで字の如くなので3つ目の
これはJBバトルと呼ばれ、話し合いや他者の仲介で揉め事の収まりが着かない時に行われます。生徒会に申請し受理された後、選定された者による聖魔法の
まぁ聞くより見た方が早いと思うのでこのJBバトルについては来週の実技でより詳しく説明したいと思います。その際に特殊訓練施設にも移動しますのでそこの施設についての説明も一緒に行いますね。
以上が当学院で魔法を使う際の注意事項です。破った場合は厳しい処罰が下ります。
次に、この学院の基本理念に基づいたルールを説明します。
この学院は“自由で平等”という理念を掲げています。
自由というのはある一定のルールの下にあるものです。自由であるために最低限のルールが存在します。そうでなければただの無法ですからね。
平等と言うのは言葉の通りです。厳しい入学試験を突破した皆さんのスタートラインは一緒です。そこに家柄や経歴を当学院では一切評価に含みません。教養と実力、そして人となりが評価の対象となります。
逸脱した考えや行動を取らないよう、その事をしっかり覚えておいて下さい。
さて、それでは最後にこの星の歴史をお話しましょう。
このヴィタリアは約1000年前に現れたと言われる女神により守られています。女神により施された結界が外界からの干渉を遮断し、争いのない平和な世界へと変わりました。幻獣や魔獣の出現は減り、神族と魔族の争いからも解放されたのです。
ヴィータはこの平和を守るためより一層魔法の研究に励み、種族間の壁を越えて手を取り合うようになりました。
数百年後、一人の魔導師が世界の異変に気付きます。
ヴィタリアの各地にイビルホールと呼ばれる原因不明の現象が起きるようになったのです。それは黒と灰色のモヤで覆われたブラックホールみたいなもので、あらゆる生物に影響を与え生態系をも変えかねない非常に危険なものとされました。発生場所も発生時期も法則性がなく、調べたくても放っておけばいつの間にか消えている。そんな厄介な現象なのです。
このイビルホールは年々発生件数が増えていき、それと比例して幻獣や魔獣の出現も増加し、さらにはヴィータ同士の争いも増えていきました。
これに危機感を持ったヴィータ達は国を大きく八つに分け、八名の元帥を置き、ヴィータ達を束ねる事にしました。その上にヴィタリアで最も優れた白と黒の魔法使いを一名ずつ選出し、大元帥として星を守る者を置いたのです。
こうしてヴィタリアは秩序を取り戻し、更なる発展をしていきました。
そして今から500年前、女神が施した結界の力が徐々に弱まっている事が判明しました。当時の研究者はイビルホールの発生、そして増加原因がこの事に起因すると結論付けたのです。
魔法の研究も進み、イビルホールの消滅方法も見つけたヴィータはいずれ来るであろう未来に備えて魔法学院を創設する事にしました。国内の治安と秩序を守り、女神の守りが無くなる日を想定した戦力と知識の強化施設です。
この学院を卒業出来た者のみを
皆さんは先人達の知識や技術を受け継ぐ新たな守護者の卵としてここにいます。各々様々な思いと覚悟を持ってこの学院へ足を踏み入れた事でしょう。
この歴史を引き継ぎ、より高みを目指して励んで下さい。そして次代にこの歴史を引き継いでいくのです。
……それではこれで授業を終わります。あとの授業は細かい確認を行い、来週は実技で基礎魔法の復習と付属の説明を行います。
それと、来週から二学年と三学年が登校してきます。全校集会や部会の紹介もありますので遅刻をしないように。
以上です」
こうして俺の魔法学院一週間目は過ぎていったのだった───
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