第3話 クオカード
ある日知り合いからクオカードを貰った。昔で言うならお歳暮みたいなものなんだろう。実は使ったことが無い。聞けばよかったのだが、知り合いはそれを知らずに当たり前の物としてくれたので説明が無かった。軽く調べてみるとどうやら商品券やテレホンカードに似たものだと分かる。使い方が難しいものではない。ただ使うところは限られる。調べてみると対象の店舗としてコンビニが一番使いやすいようだ。
ただちょっとだけ注意点があった、これおつりが出ない。追加でお金を足すか?またはギリギリまで使いきるのが良い。私は小額なので使いきりを選ぶ事にした。
まずは店舗の選択だ。すべてのコンビニが対象であるわけじゃない。メジャーどころの711にする事にした。これなら文句無いだろう。全国展開して無い大手じゃないコンビニと言うのが全国にはちらほらある。そういう所はちと面倒臭い。別にそういったコンビニを不便だとDISってるわけじゃない。支払いの時に面倒な事を避けたいだけだ。
入店すると
「いらっしゃいませー」
こういう挨拶は、マニュアル化されてるものじゃないとは思う。雇われ店長?そういった責任者の立場に要る人は、なんとか店の雰囲気を良くしようと結構頑張ってる。店員は金貰ってるからって感じのなんとなくが多い。それと言うのも飲食店に多いのだが、やたらと気合の入った挨拶をする店が多い。これちと煩い…。コンビニのなんとなく挨拶は悪くない面もある。
さてさて何を買うか?実を言うとコンビニに用事が無い。クオカードを使える店と言うのでなんとなく選択しただけだ。困ったものだ、取りあえず必要なものは多いが、いざ目的を持って来るとコンビニって欲しいものが無いんだよな。弁当を買うのもなんだし、タバコには使えないし、何より最近禁煙して止めてしまった。
そこで選択したものは、腐らないもの…。レトルトとカップめんに集中する。適当に選んでいく、そこで、栄養がとなる。んでこれ栄養あるのかな?と分からないが、フリーズドライ製法の乾燥野菜スープを多数購入する。ただし、これ栄養があるのか?は分からない。これ問題があって、ビタミンCってのは熱に弱い。それは冷却も例外じゃない。基本暖めて壊れるのだが、有名なものとして、濃縮還元の100%ジュースが有る。あれビタミンCが壊れる。
ただ、全部壊れるわけじゃない。そのあたりは全く栄養が無いと嘘をばらまく話しもネットに多いが、実際成分を調べるとちゃんと残っている。この手のは実はって感じで煽った話が受けてしまうので仕方ない。TVはさすがにそこまでいい加減ではないが、ネットは手法だけはTVと似てるくせに本当にちゃらんぽらん。その癖TVのそういった面の批判が多いのだから笑ってしまう。
粉末スープ良いねとポタージュなども追加する。意外とあっという間に1000~2000円程度のクオカードは使いきってしまう。
さてここからが本番だ。これは店で適当に選ぼうと思っていた。だが、ここからは前もって考えていた。あまりのお金を普段あまり買わない子供の駄菓子で埋めようと思っていた。こういう機会でもないとコンビニに売ってるのは知ってたが買うことは一度もなかった。100円程度のスナック菓子ではない。
昔懐かしい駄菓子屋の駄菓子が今は一部だが、コンビニで買える。基本ちょっと割高のコンビニでこの駄菓子だけはかなり安いんじゃないだろうか?と思う。ただチロルチョコが20円だった。これは割高なのか?私が食べない間に値上がりしたのか?が分からない。昔はこれ10円だったよな。これこそ端数を埋める決め手だったのにーー。
細々と普段食べないような20や50円など半端な値段の小さなお菓子を買って調整していくが、最後の10円残ったのが上手くはまらない。そこでお菓子の探索をする。最初からチロルチョコで締めると決めていたので、計画が狂って狭いコーナーなのに、困惑している。なんというかそういう時って見えてるものが見えないものだ。
そこで、チロルチョコを一切忘れて初見と思って棚を見たら有ったよ。10円のお菓子が飴玉だよ。
つい思ってしまった。これ売って生計立つのだろうか?と。昔って日本貧しかったから駄菓子みたいなものが成立していた。今ってこういうのどうなの?または100円ショップがわかりやすいが中国製ならってなる。輸送費考えると厳しい面もあるとは思うのだが、商品の会社調べてみると駄菓子はやっぱあんまり中国製はないな。
何故10円にここまで悩んでるのか?そりゃ計画が狂ったのと、怪しいものじゃないだろうなと。駄菓子屋のお菓子って怪しげだからな。しかし、豊富ではない、これは子供にはつまらんとは思う。それでも駄菓子屋が消えてしまってどうなのか?と思ってたけど、コンビニに細々生き残ってるな。
これはニッチすら許されないな。ある程度の駄菓子ならコンビニで間に合ってしまうと思う。わざわざ少子化の中駄菓子専門店なんてやっていけるわけがない。昔あったものがなくなってしまうのは郷愁のようなものがある。だが、問題は店じゃない菓子そのものだ、それは歪な形だがこうして残っていくんだろうな。
など感慨にふけながらもやっとほぼ0円に近く使いきる。もちろん暗算で計算してである。実はちょっとレジに行くのに緊張している。だって多少はこれイレギュラーでしょ?そこで一言、
「あのすみません、クオカード使えますよね?」
事前に調べて分かってる。でも店員によっては知らないなんてのも想定しておかなくてはいけない。
「ええ、使えますよ」
当たり前だと思って馬鹿にしたような目をするなーって、被害妄想なのだけど。店員にばらつきがあるのが問題で、こういったイレギュラーな支払いでたまにすんなりいかない事を過去経験してるんだ。なんとなくだが、私の方がえらいんだぞーって変な気分になってしまう。当たり前の事をいちいち聞いて、面倒だとか、馬鹿にされたと思ってしまうためである。
計算どおりぴったしで滞りなく終る。問題はそこじゃない、オーバーはありえないと計算したから、問題は余ってるのが、どれぐらいあるか?になる。レシートを確認する。よしよし、問題なし。ちなみに消費税コミの値段で支払うこと…。もちろん抜かりは無い。
さてほぼ0円のクオカード、もう価値が無い。これどうしようか?もちろんゴミとして捨てた。だがその前にちょっと抵抗があったんだよな。1~9円は多分余ってるんだ…。これを硬貨として考えると、誰だって1円2円捨てたって惜しくは無い。でも実際捨てる人居ないでしょ?何かお金について哲学的な思いをめぐらせてしまった。
ゴミだから捨てたけど、なんとなく抵抗があったのはこれかと分かった事ですっきりはしたんだけど。
顛末として、貰ったら知り合いと再び会う事があったので、話してみた。
「クオカード無事使えたよ」
「そりゃそうだろう…」
うーん、私には大事件だったんだーー。
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