第17話 あさひの回想録
小さい頃から本を読むことが大好きでした。きっかけはお母さんが3歳の誕生日にくれた絵本。可愛いお姫様がお菓子の妖精になって不思議の国を旅して回るお話。ページをめくるたびにキラキラとしたお姫様の姿が目に飛び込んできて、私もいつかお姫様みたいな綺麗な女の子になりたいって思いました。
もちろん、友達は少なからずいました。ですがみんな外で遊ぶことが好きだったので、私はよく端っこで本を読んでやり過ごしていました。
小学校に入ってからはファンタジー小説を読み始めました。こんな素晴らしい物語を書けるなんて、作者さんは私にとって神に等しい存在でした。
中学生になってからは、ジャンル問わず色々なものに触れていったので、それが国語の勉強に役立ちました。具体的には、読解力とキャラクターの心情を読み取ることが他の人よりも得意になりました。
お母さんが言っていましたが、私は典型的な文系女子なんだそうです。
高校生になると、共通の趣味を持つ友達も増えていき、漫画やアニメといった娯楽も一緒に楽しむことが出来ました。
ですが、そういった人は周りから少し遠ざけりてしまいます。全員がそうというわけではありませんが、少なくとも私に話しかけようとする人は全然いなかったので………。
家に帰っても本を読むか勉強をするくらいしかなく、体も小さいので大人っぽくオシャレもできません。
そんなある日のこと、それは2年に進級した時。ひなたという女の子と出会い、彼女は私の趣味を受けいれてくれました。正確には、共感ということですが。
ひなたはそこまで漫画やアニメに詳しくはありませんでしたが、私が勧めると必ず見てくれました。
私はもっとひなたと仲良くしたいと思いました。しかし、1ヶ月ほど経つと彼女は授業をサボるようになりました。
噂で聞いたのですが、私のクラスにはもう1人授業に出てない人がいるようで、その人と一緒にサボっているらしいのです。
ひなたは真面目そうだったので意外でした。人は見かけによりません。
そう思っていたところに、ひなたはやってきました。後ろには美人と呼ぶにふさわしい人がいます。ひかげさんと言うらしいです。ひなたとひかげ、名前からして運命的なものを感じてしまいます。
中学生の時に小説で呼んだことがあるのですが、女の子がお互いを恋愛対象として好きになることがあるらしいです。レズってやつです。
なぜかその時の記憶を思い出していました。まああれは空想のお話ですので実際にそうなるかと言われたら考えにくいものですが。
ひかげさんは無口で無愛想、私なんかが話しかけられるはずもなく、当然向こうから話しかけてくることもありませんでした。
心無しか敬遠されている気さえします。
この2人はどうやって仲良くなったのでしょうか。全く毛色の違う2人でも、上手くやっていけるなんて人間というものは本当に複雑なものです。
私は今、夏休みを読書に費やしています。何を読んでいるかというと、昔読んだ恋愛小説です。2人の女の子が主人公です。マイペースな主人公にもう1人が振り回され、最終的に2人の仲が深まっていく内容になっています。私はこの2人をひなたとひかげさんに重ねてしまいました。
もしあの2人が小説のようなかんけいになってしまったら……。
こういうのをなんというのでしょう。夢女子でもないですし……。
百合女子というのでしょうか……?
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