第4話「エラと継母と義姉」

 「神様がばつをお与えなんだ」


私はうそをついた、私は彼を知っていて近付いた。


「あの紳士様、私が代わりにお買いいたしましょうか?」

彼が父を探している事、彼が1人身であること、彼がお金持ちであること、全て知った上で近付いた。


(父の手紙にあった彼なら此処ここからわたしを助け出してくれる)


エラは城の一室に居た、エラは美しいドレスをその身にまとい王子様と結婚するためにそこに居た。


「助けて、……」


――――――――――――――――――――


 「様、おはようございます」

エラはティレッドからもらった服を着てマルシェまで食材の買い物に行く所だった。


「とってもお似合いですよエラさん」

ティレッドはこの国の人と話す時には問題を起こさぬよう気よつけていたが、素直に思った事を口にした。


二人はあのあと気軽に声を掛け合う仲となって居た。


「シンデレラ!どうしたんだいその服」

ティレッドから服などを貰った日、家へと帰ったエラに対し継母けいぼはそう言いそれを奪おうとした。


「そうだよシンデレラ、何処どこからくすねて来たかしらないけど、その古くさい服もあたし達が使ってあげる」

上の義姉ぎしがそう言う。


CinderシンダーEllaエラ、オマエには灰だらけの服がお似合いなのさ!」

下の義姉はあえて名を切ってそう読んだ。


Cinderは灰を意味している。


父の再婚相手、足を悪くした父に近付いた女とその娘達、彼女は父が死んで以来、CindersシンダースSエスと共にエラから全てを奪い、暗く寒い屋根裏部屋へと追いやったあげく奴隷のようにこき使っていた。


「これはあの古屋敷ふるやしきに御住まいの魔法使い様に頂いた物です、わたしがこの服を着ていないとさぞやお怒りになるはずです」

エラは勇気を振り絞り震える声でそう言った。


継母達も魔法使いの恐ろしさは知っていた、この[遠い国]にあって最も差別を受け、最も恐れられた存在だったからだ。


「いいかいシンデレラ、魔法使いが居るからって調子に乗るんじゃないよ!」

継母はそう言ったがそのあとのエラに対する態度に魔法使いに対する警戒心が出るようになっていた。


エラはティレッドを利用した事に罪の意識を感じた。


「あのエラさん、帰りに屋敷によって下さいませんか?紅茶とお菓子を用意するので」

ティレッドは真っ赤な顔でそう言った。


「はい、喜んで」

エラは満面まんめんみでそう答えた。


これはCinderellaシンデレラの物語だ。




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