第6話 二つ超えて


「おい、役立たず改め類人猿!とっとと起きろ」


 さほど懐かしくもない声が聞こえて目を開ける。そしてすぐに閉じる。眩しい。





「人間の代わりに、動物の信仰を取って来いなんて誰が言ったよ!?」


「・・・」


 まだはらわたが煮えくり返っている。あの勇者改め狂戦士・・・次機会があったら絶対にこのツケを払わせてやる!!





「まあいいや、今回は呼び出された環境も悪かったしな。大目に見てやることにするぜ。」


「そりゃどうも」


「さて、この間の話の続きだが、各化身が直接契約を結べる相手は一人のみ。つまり、加護を与えて代行者として使えるのは一人までだ」


「・・・それで?」


 正直、怒りの感情が支配していてあまりそんな話を聞いている気分でもない。


「各世界で、代行者に自ら同行したいという者がいる場合は、3人まではいわゆるパーティーメンバーとして、別世界に連れていくことが許可されている」


「つまり、あいつらが望めば、ジュデンと旅ができたりするわけか」


 思い出すのは、最初の世界でのパーティーメンバーの顔。


 今頃、ジュデンたちはどうしているのか・・・。





「ん?今回は早いな。次の世界がお呼びだぜ?」


 足元を見ると、いつもの魔法陣。





「今度こそは、勇者としての仕事をしてきてくれよな、頼むぜ?」





 その声を最後に、俺は次の世界へと派遣された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る