第10話 あの日のありがとう

先程まで赤く綺麗に赤く綺麗に輝いていた夕日は沈み周りを見渡せばそこには人工的に作られた明るい光の出番である


「たくさん買ったちゃった」


「本当だよ」


2人とも手には大きな袋でいっぱいである


「じゃあそろそろ帰ろっかって言いたいところだけど混んできちゃったね」


周りを見渡せばみんな考えることは似たようなものらしく沢山の人がゲートから駅へと向かって歩いている


「もしよかったら少しカフェ寄ってから帰らない?少し落ち着きたいし」


「いいね、寄っていきましょ」


ゲートを出てナビに出たカフェへと向かい

入店する

そのお店は落ち着いた雰囲気で、照明も抑えられていて落ち着くのにはもってこいだった

互いにコーヒーだけを頼み一息入れる


話題位を考えようとしたがそれは遮られる


「ねえ、覚えてる私が熱出した日のこと」


「覚えてるよ」




普段の会話から両親があまり家にいなさそうなのは何となく分かっていて、ある日青木は学校を熱で休んだ

気になってメールを送ってみる


「熱だいじょうぶ?」


「大丈夫じゃない」

「寂しい」


「いつになく弱気だな」

「看護してくれる人は?」


「いない」


「いない!?」

「熱何度だ!?」


「38.5」


「寝ろ!」


「苦しくて寝れない」


「もう返信するな、寝てろ!今行く!」


気になって2時間目に入る前に大地と一緒に

学校を出ようとしたが


「2人だと怪しまれる、本当にに危険だと判断したら電話をくれ」


保健室で得意の体温計の温度ごまかしを成功させると、家が近いからとそのまま下校


そのまま青木の家へと向かう

チャイムを鳴らすが応答がない

どうかとは思いながらも家の戸を確認すると空いていたので上がり込む


前来た時はあまり感じなかったが冷静にみてみると、あまり生活している感じがしなかった、綺麗すぎる


青木の部屋まで向かいドアをノックする

応答がない


少し迷ったが、今は仕方がない


「ごめん!入るよ!」


そこには普段の男勝りな性格とは裏腹に

ベットの中で苦しそうにうなされて寝ている姿があった


「っ!」


悪いとも思いながらもそんなことを言っている場合ではない

適当にタオルを漁ってくると、取り敢えず濡らして頭に置く


取り敢えず今の状況をみんなにメールで送信し、いつまで看病が必要か分からないので

女性の先輩には看病の方もお願いした


その後すぐ雫先輩や、当時三年生の女性の先輩が2人来て俺は帰った


「登校したらさ、お礼言おうとしてたんだけどあんなメール恥ずかしかったし、気を使って明るくしてくれるのに甘えて言えなかた」


「良いよそんなの、困ってる時はお互い様だ」


「そうかもしれないけど、やっぱり言わせて

 本当にありがとう、そして嬉しかった」


顔を赤く染め、とびきりの笑顔で

言ってくれる


とてもうれしい


「それを言ったら僕だって君がいたから救われた事がいっぱいあるんだ、ありがとう」


「ネットで見たんだけど、寂しがり屋の妖怪は優しい人がいると一生イタズラして付いて

わるらしいから気をつけてね」


「はは、それは怖いな」


「ふふ、そうでしょ」


「いつか分かってくれると良いな」


「どう言う事?」


「内緒」


「さいですか」


店内の時計を確認すると十時を回っていた」


「うお、やばい!帰らないと怒られる!」


「え、そうなの?じゃあ急がないと」


二人で慌ただしく店を後にし駅へと向かった

笑いながら、二人駅まで走る姿は青春そのものだろう


あんなに毛嫌いしていた青春そのものだ


急いで夜の暗い道を走った、頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。何か大きな力に引かれるように走った。

そして怒られた




「彼らも帰るようだし私達も引き上げるわ 大地に彩花」


「イェス マム」


「ノリがいいね大地君私はもうクタクタ

 だよ」


「あんなに激しいアトラクションに乗り続けると思って無かったわ」


「本当にですね」


「やっぱり一番楽しんでない?」


見ると頭にはマスコットの被り物に

キャラクターの上着である


「どこまでもブレないなぁ」


「お褒めいただき、恐縮であります」


「褒めてないからね?」


「コントは終わり、今日は解散!みんなおつかれさま!しっかり休む事以上」


「「おつかれさまでした」」


三人もそれぞれの帰路についた





「先輩これなんですか?」


男しか居ない放課後の部活中、暇なので歴代部員の残していった物を漁っていた


「それはポップコーン製造マシーンだね」


「へーまだ使えるんですか?」


「使えると思うよ」


「じゃあ今度キミでも買ってきますか」


パソコンを見ていた大地が反応する


「キミならあるぞ」


すると大地からキミの入った袋が飛んできた


「何で持ってるだよ!」


「弁当箱に入ってた」


「そんな訳あるかい!」


「まあまあ、別にそんなのいいじゃん!

早くやっちゃおうぜ、女子軍団が来る前に」


「先輩がそう言うならやりますか」


早速キミを入れスイッチをオンにする


ウィィィン


独特な機械の音がする


パン 、パン


定期的に弾ける音は鳴り始めドンドン勢いが増していく


「何か楽しいっすね」


「そうだな、童心に帰る気分だ」


「あら〜面白そうな事やってるじゃない」


「きちゃったか〜」


「あれ、何かきちゃダメな感じでした?」


「いやいや、綾香ちゃんなら大歓迎だよ」


「じゃあ私はどうですか先輩」


「鈴ちゃんも、もちろん大歓迎」


「じゃあ私は?」


「来なくていい」


「あら、手が滑ってあなたの携帯番号

青い鳥で呟いちゃいそう」


「冗談だよ、冗談!それだけはやめて!」


「あら、冗談だったの?」


「もちろんだ、俺とお前の仲じゃないか」


「あ〜何だか喉乾いちゃったな〜」


「今すぐに!」


そう言うとすごい勢いで戸を開け走って行った


「さ、食べちゃいましょ」


「先輩も中々ですね」


みんなで苦笑いを浮かべた


「久しぶに食べたけど美味しいわね」


「そうですね」


「私的にはキャラメルで食べたいな」


「何を言うか青木!ポップコーンは塩一択に決まってるだろ!」


「は〜あ!何言ってんの?キャラメルの方が美味しいです!綾香もそう思うよね?」


「う〜ん、私は半々かな」


「お前はもちろん塩派だよな!」


がっしりと肩を掴んで熱い視線を送られる


「まあそうだね、どちらかといえば塩のほうが好きかな」


「先輩はどっちが好きなの?」


「キャラメルの方が好きね」


「ただいま〜」


そこにジュースの買い出しを終えた水沢先輩が戻って来た


「先輩はポップコーンは塩かキャラメルどっちが好きですか」


「うーん、状況によって変えるかな」


「くっ、先輩に裏切られるとは!」


大袈裟に天を仰ぎ見る


「はは、今の質問そんなに重大だったの?」


「ええ、これからの人生を左右する程に!」


「大袈裟だよ大地君」


「いや、大袈裟なんかじゃいよ綾香!

これはとても大きな問題だよ!」


これは俺も乗るしかない


「よろしい、ならば戦争だ!全校生徒にアンケートを募集しよう」


自分で作ったサイトにアンケートの欄をつくる


「これで投票数の多いの勝ちって事でどうだ」


「相変わらず面白い事してくれるね」


水沢先輩が腹かかえて笑う


「バカらしいわね」


こちらもたまらず呆れ笑いだ


「期限は2日てとこでどうでしょう」


「ああ、俺は賛成だぞ」


「私もそれでオッケー」


「負けた方はコンビでジュース買うときに

レンジで温めお願いしますって言うなんてどうだい?」


「先輩、中々鬼畜なのくれますね」


「僕はどっちになっても実際害はないしね」


「気分によって変えるや半々も投票に入れてますよ?」


「え、マジかよ〜」

「でもそっちの方が面白そうだしいいか」


「本気で言ってるの、皆んな?」


「ここはそうゆうとこだよ綾香ちゃん」


水沢先輩の腹黒い笑みが溢れている


「よし、そうとなれば呼びかけに行こう大地」


「了解した!」



二人で勢いよく扉を空けて走り始めた




「私達も行きましょうよ、先輩」


「ええそうね、ひとまず手伝ってくれそうな人に連絡入れとくわ」


キャラメルグループも後に続く



「えっと先輩私達は〜」


「俺の友達みんなに送っといたから多分勝てるから俺らは大丈夫だよ」


「えっと、何人くらいですか?」


「数百人規模」


「え〜」


「てことで今日は俺と遊んで帰りましょ〜」

「先輩後輩の交流は大切だしね」


「そうゆうことなら…」


大丈夫なんでしょうか、この部活


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