第25話 ご褒美のタピオカ
「つかれたぁ~。」
「私も、流石に疲れました。」
試験が終わったあと、後輩たちを迎えに教室へ行くと机に突っ伏している二人が並んでいた。
どうやら他の生徒は帰ったようで、教室には四人以外誰もいなかった。
「おつかれ。」
「よく頑張ったね。」
突っ伏している二人の頭を撫でてやると、ピクッとした後、体勢は何も変わっていないのに、“もっと撫でて“オーラが凄いことになる。
なんなのこのテクニック?
最近は頭を撫でたりとか、何かとタッチが多くなっていたのだが、顔にはでなくても進は内心バクバクで心臓に物凄い負荷がかかっていた。その辺りは付き合っている亮介は楽そうで羨ましくもなる。
「「頑張ったのでご褒美下さい!」」
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そんなこんなで場所は変わり───。
「なぜ俺がこんな頭の悪そうなものを・・・。」
進がとてつもない偏見を口にしているのは、今四人が飲んでいるもののせいである。
タピオカミルクティとか、まぁタピオカドリンクである。進と亮介も流石に知ってはいたが買ったのはこれが初めてだった。
それまで、たかがドリンクに600円も出し、列に並ぶのはバカの所業だと勝手に思っていたのだが、まさか自分がそうなるとは。
「センパイ完全に偏見ですよそれ。」
瑠奈がそんな進を呆れたように見る。タピオカ片手に歩く姿も様になっていて、よく買うのか、進が買ったのは瑠奈がオススメしてくれた抹茶と黒蜜のやつ。
甘いもの好きの進には確かに合っている味だ。まぁご褒美で来ているので察してもらえるかと思うが、当然彼女たちの分も先輩たちのお財布からだ。
(やっぱ高すぎだろ。)
(お金に困ったことはないけど、これは)
(バイトしているからってさ)
((きついわ))
いっそのこと遊園地や水族館とかの方が楽しみやすくて先輩たちには良かったらしい。
そんな二人を気にせずにご機嫌な瑠奈と春奈はさっきまでの疲れはどこへ行ったのか、とても元気である。
「センパ~イ♪」
「うわっくっつくな!」
「いいじゃん別に~♪」
何だか中学の頃よりも距離感が近くなっている気がするのは気のせいではないだろう。
((早く付き合え))
そんな二人を後ろから暖かい目で見守る亮介と春奈の心中は一致していた。
(そんなにグイグイ行けるのに何で告白はできないかなぁ。)
(進もそろそろ自分に素直になっていいと思うんだけどなぁ。)
((素直じゃないなぁ))
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人生初タピオカは値段や何やらで結構印象的な出来事として進の脳内に保存されていた。
あれから進の家で四人で少しゲームをしたりして遊んでから5時くらいには解散になったのだが、みんなが帰って一人になった部屋に凄い寂しさを感じていた。
進は瑠奈のことが好きだ。
自覚はある。何回も抱き締めたいと思ったりしたし、亮介たちみたいに付き合えたら、とも思う。でもダメだ。
ブーブーブー
静まり返っていたところに携帯が鳴る。また仕事の話かな。
「はい。今週の日曜日ですね。わかりました。」
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