第24話 試験本番

あれから進から問題を貰った瑠奈と自分の問題を持っていた春奈はそれぞれ過去問に取り組んでいた。


やはりここまで勉強してきた甲斐があって、春奈は満点もちょこちょこ取るし、瑠奈も90点くらい取れている。


「ここまで新入生試験に真剣に取り組んでいるのは二人くらいじゃない?」

「確かにな。」


二人の態度を見ていると、やっぱりどうしても良い点をとってほしいと思ってしまう。二人とも真面目に頑張っているから、進も亮介も二人の時々甘えてくることも許してしまっている。


流石に瑠奈がキスしようとしてきたときは止めたけれど。


「これなら本番も大丈夫だろう。」

「瑠奈もよく頑張ったな。」


そう言って撫でてやると、

“子供扱いしないでくださいっ!“

と言われることも多いのだけれど、今回は受け入れているようだ。


「えへへ///。」


デレる瑠奈の破壊力は進の理性を破壊寸前まで追い込むのだが、そこはバスケで培ってきた忍耐力で堪える。


「私も瑠奈みたいに誉められたいなぁ。」

「あぁ、あとは本番で実力出すだけだ。頑張るんだぞ。」


亮介も亮介で最大限甘えさせている。それくらいの頑張りを見せたのだから、もう生徒会役員にしてあげたい気持ちで一杯だ。


「でも、本番でミスしたら意味ないからな気を抜かずにしっかりとやるように。」


進が緩んだ空気を程よく絞め直した。



────────────────────



「流石は進くんと亮介くんが目をかけている子達ですね。」


そこは生徒会室。新入生試験の採点が終了し、生徒会にその情報が先ほど降りてきたところだ。


春奈は97点で1位タイ

瑠奈も94点で7位


「まぁ試験対策も学年で一番やっていたと思いますよ。」


進も素直に彼女たちの努力を評価して会長に伝える。


「えぇ。特に瑠奈さんの点数の延びかたは凄いですね。相当の努力をしているのがわかります。」


そしてそれは会長も理解していた。


1つだけ意外だったことは、春奈はどうやら1問ミスをしたようなのだが、その春奈とタイで1位の人間がいたこと。


ちなみに今回の試験の平均点は49.3点とやや低めである。


坂本 亜依菜


確かに進と亮介が書類選考していたときも優秀で合格組に入っていたけれど、ここまでの点数を取るとは思っていなかった。


ただ、瑠奈は彼女のことが好きではないらしく、彼女の話題をあげると目に見えて機嫌が悪くなる。


もしかしたら今年は、坂本さんと瑠奈と春奈の3人が争うことになるのかな。


「お気に入りの後輩だからって贔屓はいけませんよ?」


「わかってますよ!」

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