第18話 役員選抜
場所は生徒会室にて、進と亮介は会長に呼び出され、会議用の大きめの机に会長と向かい合うように座っていた。
「二人とも生徒会役員の選抜方法は知っているわよね?」
「えぇ、会長に教えてもらいましたから。」
亮介が答える。進はというと、まったく興味がなく、適当に今日のニュースを漁っていた。
「そこで、今ここにあるこの書類が今年の新入生の中学での成績と、入学試験の結果のリストです。」
会長はテーブルに置かれた300枚くらいの紙の束を指す。
「今年の選抜で、一次選考を二人に任せたいのです。」
「──え?僕らですか?」
「えぇ。人数に制限は要りません。有能な人材をピックアップするだけで結構です。」
「でも、僕らでいいんですか?」
亮介は当然の疑問を持つ。一度も選考なんてしたことないのに、この大事な選抜をしていいのか?と。
「君たちの人を見る目は良い方だと私は思いますよ。」
会長は優雅な笑顔で答える。亮介はその言葉に、はい と答えるしかなかった。
「で?本当のところは?」
「?」
「ギクッ!」
ここまで我関せずでいた進むの突然の言葉に亮介は驚き、会長は違う意味で肩を震わせた。
「まぁ、この量の書類を全部目を通して選考するとか、ただでさえ仕事が多くて時間がないのにやってられるかってところですかね?」
進が淡々と推察したことを話すと、会長はそれまでの優雅さはどこへ行ったのか
「えーん、そうですよぉ、この忙しい時期にこんな書類無理ですぅ!だから!お願いしますー!」
「「・・・」」
キャラが完全に違う会長は進に泣きついている。これはこれで可愛らしい会長の姿なのだが、・・・まぁみっともない。
「わかりました。ピックアップしておけばいいんですよね。」
「はっ!そうです!お願いします!」
会長は目を輝かせて、50枚くらいの書類の束を手に取った進を見る。
「じゃあ、帰りにフィレオフィッシュセット奢りで。」
「・・・?」
「あっ!じゃあ俺はダブルチーズバーガーとチキンナゲット!」
「───むー!わかりました!わかりましたよー!」
会長はフンッと進から離れる。
「じゃあ、ちゃちゃっと終わらせるぞ。」
「りょーかい。」
こうして静か?に選考会は始まるのだった。
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