第19話 キレる会長 呆れる会長 疲れる会長

それから進と亮介は物凄いスピードで書類に目を通し、一瞬で選別を行っていた。


(一体、どうしたらあんなスピードでその人の能力を判断できるのよ。)


会長も、自分の仕事をこなしながら二人の仕事ぶりには舌を巻いていた。


実際、二人は優秀も優秀、超がつくほど仕事ができるのは知っていたのだが、それでも今の二人は早すぎるのだ。


亮介はザッと書類に20秒ほどで目を通して

5秒ほど考えて選別している感じで、それだけでもかなりのスピードなのだが、


進はそれを更に上回る。正直、書類の全てを見ているとは思えない。大体3~4秒ほど、本当にパッと見で選別していくのだ。


(何を見ているのかしら?あれだけ迷いなく分けているあたり、相当重要視しているポイントがあるに違いないわ。)


会長としては、仕事が早いのは喜ばしいのだが、どうしても進が何を見ているのかが気になって気になって、とうとう自分の仕事を置いて進の選別した書類を見に行く。


進の前に選別された二つの紙の山があり、進から見て左側の書類を手に取る。


「それはボツです。」


こちらを見ることなく進はそうとだけ言う。


ボツの紙の束は右のアリの束の10倍以上ある。何枚か見ていくと、確かに特に優秀な分野があるわけでわなく、可もなく不可もなくという生徒が多い。


中には、何故ダメなのか?と思う生徒もいたが、まぁ進がダメと判断したのだからダメなのだろうと理解する。


そして、本当に数枚しかないアリの方の束を手に取る。


「?」


しかし、そこで疑問が生まれた。何故この生徒たちがアリなのだろうか?


正直、成績も入試の点数もたちより優秀な生徒が沢山ボツにされていた。

「・・・!?」

そこで気がついた。アリは全員女子生徒なのだ!それもかなりレベルの高い女子である。


「ねぇ、進くん、何を基準に選別しているか聞いてもいい?」

「ん?そりゃ当然、ルックスですよ。」

「おバカっ!」

「いって!」


進の脳天に全力チョップを入れる。

つまり、好みの女の子だけ選んでいた、と言う訳で、どうりで選別が異常に早いわけだ。


「まさか、亮介くんもルックスで選んでたりしないでしょうね?」

「?。いえ、僕はルックスだけで選んだりしませんよ。」

「よかった。安心したわ。」


亮介はきちんと真面目にやっているようで安心し、亮介が選別した書類を手に取る。

もちろん、アリの方だ。


「・・・で?亮介くんはどうやって選んだのかなぁ?」

「え?会長に相応しい男性をっ!?」


もういい、言い終わる前に進と同じように制裁を入れる。


「私が頼んだのは可愛い女の子選びでも、私の彼氏選びでもなくて!生徒会役員の選別です!」


「「?」」


「何故そんな自分は間違っていない!見たいな顔なの!?」


「いやだって、今の生徒会って会長以外男だから、女の子いた方がいいと思って。ならレベルの高い女の子を入れて生徒会の人気を高めようと。」


「生徒会として会長のもとで働くのだから、それに相応しい文武両道で見た目もいい男を選ぶべきと。」


「「間違ってました?」」


「大間違いよっ!」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る