第17話 遅刻
「二人して朝寝坊とは、お二人はどのような夜をすごされたので~?」
午後から始まる新入生歓迎会の直前に滑り込んだ俺と瑠奈は当然、亮介と春奈に質問攻めにされていた。
「進先輩とナニしてたの~?」
「もうっ春奈ってば!ただ遅くまで勉強してただけって言ってるじゃん!」
「瑠奈ちゃんとナニしてたんだよ~?」
「だーかーらー!遅くまで勉強に付き合わされてただけだよ!」
「「へぇ~」」ニヤニヤ
((こいつら!))
────────────────────
「おい進、いきなり遅刻とは弛んでいるんじょないか?とっとと仕事しろ。」
「はーい。わかってますよ。」
嫌いな副会長がムカつく言い方をしてくる。
「進くんだって寝坊くらいしますよ。それに仕事には間に合ってますし、事前準備は彼が一番活躍してくれましたから、これくらいいいじゃないですか。」
「ちっ!」
会長の言葉に気まずくなった副会長は舌打ちだけして立ち去った。副会長が一番仕事してないからな。
進と亮介はこの新入生歓迎会の司会進行を任されていた。正直に進がサボっていたら、亮介は大変なことになっていたので、瑠奈ちゃんには感謝している。
新入生歓迎会は正直なところ、やる意味があるのかよくわからない。全校生徒を体育館に集めて、会長が歓迎の言葉を述べ、校歌の紹介をして、生徒会役員の挨拶をして、校長先生からの話があって終わるという、実に形式的な面白味のない式典である。
「めんどくせぇ」
進の感想はこれだ。当然司会進行はきちんとやっているが、目は今にも寝てしまいそうになっている。
「センパイ眠そー」
「だね~」
それを遠目からではあるが、しっかりと見ている後輩二人。
こうして新入生歓迎会は特に何もなく、平々凡々と終わるのである。
────────────────────
「さて、進くんと亮介くん。少しいいですか?」
「はい?」
「なんすかー?」
新入生歓迎会が終わり、あとはホームルームで帰宅という中で、会長に呼び止められる。
「話したいことがあるので、生徒会室まで来てください。」
「・・・説教?」
進は思い当たる節があるので、恐る恐る聞くと、会長は意味深な笑顔で
「どうでしょうね?」
とだけ告げて行ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます