第14話 公園でのお弁当

進と瑠奈の二人はお昼時ということもあって、近所の公園でお弁当を食べることにした。


「それにしても、マジで料理できたのか」

進の膝の上には、瑠奈が作ってきてくれたお弁当があった。

家を出る前に「お弁当作ってきたので!」と胸を張って言っていた瑠奈に不安しかなかったのだが、これは謝罪しなければなるまい。


「練習したので!」

どや顔でそこそこ大きめの胸を張る瑠奈。

(なお、胸のサイズは春奈には劣る)


「いただきます。」


きちんと手を合わせてから真っ先に竜田揚げを口に運ぶ。


「っ!うまっ!」


なぜだ!?弁当でここまで揚げたての食感とジューシーさを残すなんて!


「フフン」


その俺の反応にご満足いただけたのか、瑠奈も自分のお弁当を食べ始める。


「唐揚げじゃなくて、竜田揚げにしてくれたんだ。」

「はい!センパイがグルテンフリーを気にして食事管理していたのを覚えてたので。」


とあるテニスの選手の影響なのだが、小麦に含まれるグルテンという成分が体に悪いらしく、俺は中学の頃から食事を気にするようにしていたのだ。


こいつは本当にそういうところに気がまわる。客観的に見ても、こいつは可愛いし気配りができるし、それでいて努力家で料理までできるとは、本当に凄いやつだと思う。


今もニコニコと隣でお弁当を食べている瑠奈が俺を慕ってくれていることは凄く嬉しいし、瑠奈の気持ちには俺も気付いている。


だから困るんだ。


俺は彼女のことが好きだ。


でもこれは伝えてはならない。


俺たちは先輩と後輩。


それ以上にはならない。


「センパイのここはまだ動いてないんですね。」


俺から何かを感じた瑠奈が、俺の胸に耳を当てるようにもたれかかってきた。


「センパイはまだ後悔し続けてるんですか?」


本当に彼女は凄い。こうして俺の心を簡単に読み取ってしまうんだから。


俺の心にささりつづけるトゲ。


中学時代のしょうもない出来事。


しょうもなくても、俺にとっては大きかった出来事。


彼女には敵わないな。



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