第6話 新入生試験はすぐそこだ

「エヘヘ、びっくりしました?」


ニヤニヤと俺の顔を覗き込む可愛らしい彼女こと軽井沢 瑠奈と、


「本当に嬉しそうだね~瑠奈~」

「そっ、そんなことないもんっ!」


春奈と仲良さそうに話す一之瀬 春奈。


「よかったね進。」

「・・・。」


俺をからかう小泉 亮介。

そして嬉しいか嬉しくないかでは、僅差で嬉しい方が勝利した真田 進。


今、四人は最寄り駅のマックドナルドに来ていた。


ちなみに進は、ここに徒歩で来るまでの15分ほどを三人にからかわれ続けたため、少しキレている。


「俺はお腹すいたし、ビックマッグセットにしようかなぁ。」


メニューを見ながら四人それぞれ考える。


「俺はフィッシュバーガーセット。」

「進センパイ変わらないですね~。」


「私はそんなにお腹すいてないからポテトだけでいいかな。」


「じゃーぁ、私はセンパイにポテトとオレンジジュース奢ってもらお!」

「おい、なぜ俺がお前に奢らなきゃならんのだ?」


「ダメ?」

「うるうるするな!」

「ウルウル」

「──わかったよ。」

「やったー!ごちそうさまでーす!」


とガッツポーズを決める瑠奈が少しムカつく。


「本当に瑠奈ちゃんには甘いよね~俺にもそれくらい優しくしてくれれば良いのに。」


そんな様子を見ていた亮介が横から突っ込んできたので、このムカムカも含めて、


「じゃあお前には今度、購買のわさびおにぎりを奢ってやろう。」

「ごめんマジやめて。」


なぜだろう?我が校が誇る購買のわさびおにぎりは不味いことに定評があり、それはもう何故売られ続けるのか意味がわからないくらい。


まぁ、何だかんだで罰ゲームとかで結構売れるらしいんだけどね・・・。


「早く行きましょう。席なくなっちゃいますよ?」

「「「おー!」」」


────────────────────


「センパイ、私まだ言われてません。」

「愛の告白ならしないぞ。」

「ムー。それもして欲しいけど、私、頑張って勉強してセンパイのいる学校に入学したんですよ~。」


俺と瑠奈の頼んだものは(俺の奢り)は春奈と亮介よりはやくできたので、先にテーブル席をくっつけて四人座れるようにして、向かい合って座っていた。


「可愛い後輩がセンパイのために頑張ったんですよ~。」

「自分で可愛いとか言ってる時点でなぁ?」


しかし、実際可愛いから難しいところだ。


「センパーイ。」

「・・・まぁ、よく頑張ったな。入学おめでとう。」


俺の敗けだ、可愛いはこいつ。


「エヘヘ褒められた~!」


どうして俺なんかの「おめでとう」でこんなに喜べるかはわからないけど、悪い気はしなかった。


「ところで、俺たちは席を外した方がいいかな?」

「「うわっ!いつの間に!?」」


いつの間にか頼んだものを受け取ってトレーを持っている春奈と亮介が二人して温かい笑顔でそこに立っていた。


「可愛い後輩がセンパイのために頑張ったんですよ~。のところからです。」


春奈が瑠奈の真似なのか、口調を結構変えている、上手いな。


「いやぁ、お熱いねぇ。」

「べっ別にそんなんじゃねぇ」

「とっとにかく座りなよ二人とも!」

「そそそうだな!」


とにかく間を置こう!



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