第4話 お久しぶりですⅡ
アイツ、どこに進学したんだろうか・・・。
そんな疑問を抱きながら階段を下っていると、
キーンコーンカーンコーン
ホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴った。扉が開く音がして、何人かの生徒たちが帰路につく。
しかし、教室に残る生徒も少なくない。入学したばかりなのだ、帰らない生徒の方が多いだろう。
「そういえばさ進って入学式の日、帰るのメチャクチャ早かったよな?」
何を思い出したのか、階段を降りたところで亮介が足を止める。
「あぁ、そうだったな。」
確かあの時は、クラスの輪に上手く入れなかったっけ。今は友達と呼べる生徒も何人かいるし、コミュニケーションに困ることもないが、
「それだけか?俺、お前が帰ったタイミングわからなかったんだぞ?」
進とは一年生の頃は同じクラスだったことも、大きかったのかもしれない。
「お前が鈍感だっただけだろ?」
「・・・そうしておくよ。」
もちろん、亮介なら普通に帰る俺を見逃すことはなかっただろう。でも、あの日、実は俺はホームルームには出席しなかったのだ。入学式をしてクラス発表でクラスを確認して帰った。
その理由は、まぁ大したものじゃない。
────────────────────
春奈と瑠奈の二人は早くも学年で一番の有名人になっていた。それは、彼女たちの容姿が本当に優れているということと、春奈が生徒会の先輩に抱きついていたという目撃情報が相乗効果を発揮してしまったからである。
「一之瀬さん彼氏いんのかよぉ。」
「この調子だと軽井沢さんもいるかもよ。」
「あぁ!なんて恵まれないんだ俺たちは!」
と男子たちは撃沈。
「あのイケメンの先輩、彼女いたのね・・・。」
「うそでしょ、これから狙おうと思ったのに・・・。」
「いやいや、まだ可能性は・・・。」
「じゃあもう一人の黒髪の先輩もなのかなぁ・・・。」
と女子たちも撃沈。
「何だか、すごいことに・・・。」
「だね。」
当事者の二人も今の状況に困惑していた。
「亮介先輩、ちゃんと連れてきてくれるかなぁ。」
瑠奈の方は、これから会えるであろう人のことで一杯だった。
「そんなに気になるなら会いに行けば良いのに。」
春奈は正直に思ったことを言ってみる。もちろん、返答は見当がついているが、
「だって、恥ずかしくて、無理だよぉ。」
「はぁ。」
栗色の髪にやや短めのスカート、活発キャラの瑠奈も、彼のことになると奥手になる。
(周りが見えなくなると、凄い積極的になれるのになぁ。)
春奈は何度かスイッチの入った瑠奈を見ている。それはもう、自分とは比較にならないくらいグイグイ行く姿を思い浮かべると、今の彼女とのキャップがものすごい。
そんなことを考えているうちに、廊下の方が騒がしくなっていることに二人は気づいた。
「「「キャー!」」」
誰か芸能人でもいるでしょうか?主に女子生徒たちが盛り上がってます。
二人はこの騒ぎの原因をすぐに知ることになる。
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