第3話 お久しぶりです!

入学式の日は、在校生は生徒会や一部式典関係者以外は授業もなく休みである。

生徒会メンバーも、入学式が終わって一通り片付けたら各自解散という流れなので、早く帰って寝るか勉強するか、ゲームでもしようと進は持ち場をチャチャっと片付けていた。


「進、今日ことあと付き合ってほしいんだけど。」

「ん?別に構わないが。」


もうすぐ終わるというところで、亮介に声をかけられる。てっきり彼女を待って二人で帰るのだと思っていた。


「お前、彼女と帰るんじゃないの?」

「あー、まー、それまでの暇潰しに付き合え。」

「それ、俺に何のメリットもないじゃん。」

「まぁまぁ~、そう言わずに、良いことあるかもよ!」


本当に何なのだろう、ここまで強引なのは珍しくはないのだが、何かを企んでいる気がする。


「・・・わかったよ。」

「よし!」


承諾した瞬間にガッツポーズ、こいつ、俺に何をする気だ?


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さて、生徒会活動は終わりましたが、進くんと亮介くんたちが、一年生のホームルームが終わるのを待っている間に、生徒会長である私、一条谷 梓 が生徒会メンバーについて解説させて頂きます。


まず、生徒会長は 三年二組 一条谷 梓。

一応、学力試験は入学から常に首席です。部活には所属していません。


そして、副会長は 三年五組 毛塚 隆行くん。

サッカー部の部長を勤めながら、学力試験でも上位十人に入ってくる優秀な生徒ですが、人間性にやや問題があるため私は好きではありませんね。


次に、会計を勤めてくれているのが、

二年三組 小泉 亮介くん。

部活には所属していませんが、身体能力はかなり良いらしいです。成績は入学からずっと次席をキープし、品行方正で礼儀正しい良い子です。髪の色はチャラく見えてしまいますが・・・。


最後に、書記を勤めてけれているのが、

二年一組 真田 進くん。

亮介くんと非常に仲が良く、あまり目立つキャラではありませんが、整った顔立ちで、身体能力も高く、学力試験は私と同じく入学から常に首席。細かい所まで気配りができ、さりげないサポートを常にしてくれます。


外見では亮介くんですが、性格的には進くんの方が好みですね。


と、四人構成で現在の生徒会は成立しています。例年だとこれに、一年生が五月頃に二人選抜されることになります。

選抜方法は現役生徒会メンバーと教職員の話し合いで立候補者の中から選抜するという方式です。


さて、そろそろホームルームが終わる頃ですね。


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問おう。新入生が入学してきた日にいきなり

「可愛い女の子探しをしよう!」

と言って友達を巻き込んで一年の校舎を散策する二年生を、後輩たちはどう思うだろうか?


解答

「なんなんだよ、こいつら」


と思わない?思わないのかなぁ?


そんな俺の自問自答に気付くはずもなく、亮介と言う名の彼女持ちのくせに可愛い女の子探しを提案してくるクソ野郎は平然と教室を覗きながら歩いていく。


生徒会の腕章をつけっぱなしなのは、変に疑われないため、と何ともいやらしい魂胆なのだろうか。


「お気に召した子はいた?」

「いや、見てねぇし。」


爽やかなイケメンから繰り出される笑顔を、半ギレの笑顔で返すが、奴は気にもとめていないようだった。


俺たちは今、コの字型の校舎の生徒会室のある中央棟四階から渡り廊下を渡って、一年生の教室のある南棟にきていた。


四階には五組から八組の教室があり、三回に四組から一組の教室がある。


「五から八組はハズレでしたか~。」


何て呑気な調子の亮介はそのまま階段で三階へと降りていく。


「そういえば、春奈ちゃんは一組何だっけ?」

「そうだよ。あっ!いくら進でも譲らないからな!」


何を考えたらその発言に繋がるのだろうか、


「冗談だよ。進の彼女枠は可愛い後輩の分だもんな。」

「・・・うっせ」


そういえば、アイツはどこに進学したんだろうか・・・。


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