第34話

カトリックのシスターが、母に、祖母に私を任せてはいけないと強く忠告した事があった。そして母がそれに対して抗議した件だが、それはこの父親の件があった前か後かは分からない。恐らくは前だろう。だが母の性格からしたら、後からでもそんなにおかしくはない。                仕事は普通にできるが、馬鹿なのだ。何でも直ぐに祖母や周りの親戚に相談したり、された忠告を真に受ける。相手が本心で言っていない事でも、言われたら信じる。嫌でもそれが正しいと思い、努力をする。いつでもでは無いが、そうした事が凄く多い.。     又過度のお人好しで、見栄っ張りだった。欲しいと言われたら平気で私の玩具を親戚の子供や、遊びに来た友人の、私よりも年下のその友人の子供にあげたりする事も何度かあった。相手のその友人が驚いて、悪いからいらないと言っても、一旦口にしたのを今更、という感じで、無理矢理に渡した。私が涙目で嫌がっても、強くなだめて。       「いいでしょう、あげなさい!○○ちゃんのほうが小さいんだから。又買ってあげるから。」                  何度も言う。諦めるまで。そして相手の子供は嬉しそうにそれを抱きしめたり、手にしっかりと握りしめる。そうして帰って行く。そして、又同じ物を買ってくれない。その場しのぎの嘘だ。なだめて諦めさせて、早くあげたいからだ。              それは大概が、自分が私に買い与えた物だった。そうでないと祖母に、そんな勝手な事をしたと責められて、凄くしつこく文句を言われるかもだからだ!           とにかく、特に私が子供時代は、自分や私を犠牲にしても、他の人間に尽くすのが丸で理念の様に思えてしまう様な人だっだ。それは元の性格と、祖母からの洗脳でだと思う。本当に、歯痒かった!!          結局こんな人だったので、父親の件でしばらくはふてくされて元気がなかったが、しばらくすると又元に戻り、丸で何事も無かった様になった。               そしてもう一つ違う、似た様なエピソードがあった事も思い出した。(これは、父親とは関係ない。父親はもう、電話が無かった事から、母が誰か他の男とくっついて、私達は幸せにやっているとでも思ったのかもしれない?あれからそうした事はもう一度も無かったから。)後日このエピソードも記してみよう!                  余談だが、数年後にエミと学校に一緒に通い始めてから、喧嘩をした時に言われた事がある。                  「ユーは可愛そうだね〜。ユーのママはユーよりもあんなおばあちゃんのほうが大切なんだから!ミーのママが言ってたよ。本当なら自分の子供が一番大事なのに、ユーのママは違うんだって!あんな馬鹿なおばあちゃんのほうが大事なんだって!」        「そんな事ないよ!!」         「そうだよ!あんなおばあちゃんにユーの面倒を見させて毎日働きに行って、あんなおばあちゃんを養ってるんだからって。」  「ユーんちだって毎日働きに行ってんじゃん?!」                「ミーんちはあんなおばあちゃん、いないからね。あんな、何にもさせてくれなくて、うるさいおばあちゃんなんか!ミーのママがもしユーの親なら、そんな頭の悪い、自分勝手なおばあちゃんの面倒なんか見ないで、ドンドンもっと好きな所に、ユーを連れて出て行くってさ!」              私はこの言われた内容にかなり傷付いて、否定した。                「自分の親なんだから、仕方ないじゃん!ユーみたいにいないんじゃあ、どうせ分からないだろうけど。」            「でもそうだよ!ユーが本当に大事なら、ユーを連れて出て行くって言ってたからね!幾ら白人の血が入ってても、それが何の役にもたたないし、損する様な国にいつまでも置いておかないってさ。なのにそんな事してて、凄く馬鹿だって言ってたよ!!子供なんて小さな時が一番大事なのに、でないと一生大変なのに、そんな馬鹿なおばあちゃんと一緒にいさせるって言ってたからね!」     後に何十年かして、祖母が亡くなってから、その内容を母に話すと母は言った。    「そうだよ、その通りだよ。本当に馬鹿  だったよ!あの子の親が言った通りだよ。」                 後悔先に立たず。だが、その時には分からない…。                 私自身も、後悔する事は過去に幾つもある。だからこの先は今からでも、なるたけ後悔をしない様にしたい。           そんな事を言ってグズグズしてる内に、直ぐに今年も終わるのだろうが…。      続 く             

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