第24話
それはエミが家に遊びに来た時だ。それはかなり前だったが。その時、祖母がおやつに ケーキを出したのだ。 するとエミはケーキの周りに付いている透き通ったプラスチックのラッピングを手に取り、舐め始めたのだ。 それから、フォークを殆ど使わずに、途中からはそのケーキを両手で持ちながら、林檎でも食べるかの様に食べ始めたのだ。 私も少しびっくりしたが、同じ子供として、そこまでは何とも思わなかった。 だが口うるさい祖母はそれを見ると騒ぎ始めた。 「一寸、エミちゃん!あんた何やってんの??何なの、その食べ方は?!」 エミが祖母を見ると、又言った。 「あんた何なの、その食べ方?ちゃんとに フォークを使わなきゃ駄目じゃないの?!それに何を、そんな物をベロベロ舐めてるのよ?嫌だねー、汚い食べ方をして!!あんた、ケーキ食べた事無いの?あんたんち、ケーキ出さないの?食べないの?」 エミが嫌な顔をした。 「ちゃんとに綺麗に食べなさいよ?!手なんかで掴んでないで。」 エミが言った。 「そんなの、どんな風に食べても自由だから。」 「何が自由なの?!嫌だね!そんな汚い食べ方をして、そんな事を言ってさ!あんたのお母さん、何にも言わないの?ねー、あんたのママはそんな汚い食べ方をしても怒らないの?平気なの?!ああ可愛そうだね〜、そんな事も教えてくれないんだから!!」 エミは顔が引きつり、怒り顔になった。 だが、太っていたから、無視してケーキを平らげた。 「本当に、汚い食べ方をするね〜。エミちゃん、あんたね、ケーキはフォークで食べるんだよ。ちゃんとにフォークがあるんだから!それとその周りのプラスチックに付いてるのも、ベロベロ舐めないの!!周りのクリームが食べたきゃフォークで取って食べるの!!」 食べ終わってもまだ祖母は呆れて、そんな事を繰り返して言った。 こうしてエミはケーキの食べ方で、物凄く祖母に馬鹿にされながら叱られた。 子供でも、普通なら悪びれたり恥ずかしくなると思うのだが、彼女の母親の躾のせいで、そんな事はなかった。逆に祖母を非常に恨み、嫌った。 後から自分の母親にその話をすると案の定、母親は祖母を避難して馬鹿にした。 「エミ。そんなのは、まだ子供なんだから。ケーキなんて好きに食べたら良いんだよ!手で掴もうが何しようが、そんなもん大した問題じゃないんだから!!だから○○のおばあちゃんは最低だし、凄く馬鹿なんだよ!!だからそんな馬鹿な婆さんを、相手にしなくて良いからね。」 そんな事を言って笑ったそうだ。それを又馬鹿にしながら私に言った。 だから、クマちゃんへのコメントは、エミの、祖母への仕返しだったのだろう。その時には分からなかったし、そこまで根に持っているとは思わなかったのだが。 だが、祖母が注意した内容をどうでも良いと馬鹿にしたなら、何故そこまで根に持ったのだろう?本当は気にしていたのではないか?幾ら母親が、どんな食べ方をしても構わないと言っても? それとも、自分は何も悪いと思っていない 食べ方に、理不尽な言い掛かりを付けられて責められた事で、凄く憤りを感じたからなのか…?
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