【解説】ビギン師匠と弟子フミカの(ちょっぴりメタな)HMFL世界紹介

フミカ「い、いきなり本編にいない人名出されても読者は当惑するだけなんじゃないでしょうか?」


ビギン「大丈夫、所詮は戯言ざれごとです。一応、簡単に自己紹介すると、私はこのパンバーの街に住む狩猟士兼錬金術士のビギンと申します」


フミカ「ふ、フミカです。わたしもビギンさんと、あともうふたりの女性と一緒に徒党を組んで狩猟士をやっています……えっと、一応“転生者”と呼ばれる存在でもあります」


ビギン「私達は、本作と同じ世界の十数年後を描いた『牧瀬双葉は転生超人である──ただしチートはない』の番外編に登場しているんですが、この度、この世界の概要を説明する係としてコチラに呼ばれました」


フミカ「ぅぅ……なんでほとんどモブ同然のわたし達が」


ビギン「さぁ? なんか作者が唐突に思いついた組み合わせらしいですよ。それはさておき、早速講義に入りましょう。フミカさん、まずは貴女が知る限りの知識で、この世界のことを紹介してみてください」


フミカ「えっと……か、簡単に言うと、この世界は、転生前のわたしたちが暮らしていた地球──というか日本で流行していた『ハンティングモンスター・フロントライン』というPCゲームの世界とよく似ています」


ビギン「通称『HMFL』、いわゆる“狩りゲー”ですね。ちなみに似ている理由は簡単で、「神様が『HMFL』を模して作った世界だから」」。


フミカ「神様がどうしてそんな世界を作ったかについては『牧瀬双葉は転生超人である』の方を見ていだくとして……第1話ほかでも語られていますが、実はこの世界、かなりシビアです」


ビギン「かつては高度な魔法文明が栄えていたのですが、それが突然、現在では詳細不明の大災害によって崩壊し、人間は全人口の90%以上を喪いました。そしてその結果、地上は、怪獣デーモン巨獣モンスター、巨獣よりは小さいものの、それでも人間にとっては脅威となる“大型獣”と呼ばれる動物たちの支配するところとなっています」


フミカ「現在の文明レベルは、日本で言うならおおよそ室町末期から戦国時代、くらいでしょうか。中世から近世に移り変わる直前くらい」


ビギン「とは言え、全体的な雰囲気としては、いわゆる異世界ファンタジー小説などで目にする世界と近いと言えるかもしれません。剣や槍、弓や弩などが主要武器で、それを手にした冒険者ならぬ狩猟士たちが協会ギルドに所属し、大型獣や巨獣を狩って町や村の経済活動に貢献する」


フミカ「よくあるファンタジー小説などに比べると、世界全体が物騒なので“国”があまり発達しておらず、せいぜい都市国家+αなレベルな点と、“剣と魔法”の魔法の方がすでにほぼ失われている点が大きな違いかもしれませんね」


ビギン「一応、魔法の代用というか劣化存在として錬金術があるんですが、これも使える人が非常に少ない希少技能です。魔法文明時代であれば、ほぼすべての市民が基本くらいは修めている義務教育的基礎知識だったらしいんですが、現在の錬金術士は大きめの街にひとりふたり見つかればいい方。なので、大概権力者側に囲い込まれているのが現状ですね」


フミカ「ビギンさんは違うみたいですけど……」


ビギン「そのへんは父のコネのおかげですね。亡くなった父とパンバーの町長が友人でしたので、割と好きにやらしてもらってます。もっとも、“他の町に移籍しない(=製作物はパンバーで売る)”ことを暗黙の了解にはしてますが」


フミカ「やっぱり色々しがらみはあるんですね。納得しました。それとわたし達は違うんですが、素質持ち(タレント)のことも説明しておくべきでしょうか?」


ビギン「この世界において、並人種ヒュームの9割以上を占める一般人と比較して、幼少時から身体能力が著しく高いのが素質持ちタレントの特徴です。タレントの場合、狩猟士や兵士といった戦闘職に就くのが普通ですね。

 いえ、義務とか法律で決まっているわけではないんですが、それが当然と思われているというか……」


フミカ「同調圧力というモノでしょうか。なんだか嫌な感じです」


ビギン「現代日本と違って、人間が万物の霊長とは言えない危険な世界ですからねぇ。(体質的に)戦える人材が町や村に引き籠っているのは、あまり歓迎されないんですよ。

 逆にタレント以外の人間が戦闘職に就くことは珍しくて、村・町の衛兵程度ならともかく、“バケモノと戦う超人”であることを求められる狩猟士になるのは“ワケアリ”なケースが多いですね」


フミカ「わたしは身寄りのない転生者でしたから、ある意味、仕方ないんですが、ビギンさんは?」


ビギン「錬金術に使う動植物や鉱石などの素材を自分の手で安価に手に入れたかった。以上」


フミカ「ちょ、ちょっとソレ、短絡過ぎませんか? それに錬金術士って裕福なんじゃあ……」


ビギン「囲い込まれていない、つまり特定のパトロンのいない錬金術士なんて、こんなモンですよ。錬金術の産物が高価って言っても、素材の費用も相応にかかりますから。差額で儲けるためには、自給自足的に自分で調達するのが一番なんです」


フミカ「せ、世知辛いですねぇ」


ビギン「タレントの人には、以下のような特徴があります。


 ・筋力、耐久力、反射神経などの身体能力が高い

 ・種族の平均身長よりかなり大柄

 ・生命力が旺盛で怪我などの治りも早い

 ・非常な大食漢で、普通の人間の3倍程度の量を食べるうえ、空腹になるのも早い。


 ──おおよそ、こんなトコロですね」


フミカ「パワーがあって丈夫だけど、燃費が悪いオフロード用大型四輪駆動車……って感じでしょうか」


ビギン「言い得て妙ですね」

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