## とあるセカイのエピローグ

### 公交直下

昔から

決断と行動に

迷いを感じさせない

絶対に

敵に回したくない人だった。


先輩は

予備動作なく

目の前の一人の

意識を失わせた。


死んだように

力の抜けた

彼女を

丁寧に

確実に

先輩は井戸に投げ込み、

蓋をした。


私は

井戸に

駆け寄る。


彼女は

ここで生きればいい。

まだきっと助けられる。

私が

彼女に惜しみなく

愛情を注ぐ。

私の隣になど

居なくていい。

私より

良い男に、

いや女性でもいい。

女性の方が

良いかもしれない。

彼女が望めば

誰とでも

どこでも

彼女は

幸せになれる。


井戸の蓋を開け。

覗き込む。


そこにあるのは

小石と

日に照らされた地面

だけだった。

私の

セカイは

ハリボテの

偽物だった。


紫に近くなった

だだっ広いばかりの青い空で

千切れた雲が

夕日の一部に

溶け入る

準備をしていた。

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