### 直流伝心
「私が
手刀で
アナタの意識を飛ばす。
ここは
現実でないからそれは可能だよ。
確実に。
そして
この井戸に
放り込む。
アナタの望みは叶う。
このセカイから
アナタはいなくなる。
それが
この物語の内側においての
アナタの
ラストシーンになる。
この物語の向こうで
どうなるかまでは私には解からない。
ごめんね。
私は
アナタのセカイの現実を知らないんだ。
それでもいいかい?」
淀みなく
言い切ってくれた
お姉さんに肯く。
これで
このセカイとお別れできる。
きっと
帰れるのだ。
現実セカイで
黄昏の魔術師と一緒に
亜インテリ相手に
闘うのだ。
絶対に
高給恒久平和を
実現するのだ。
これから、
毎日、
あの腕の中に帰れるのだ。
「もう、
何回も説明したけれど、
失敗すれば
存在が消失するよ。
最後の確認だ。
本当にいいんだね?」
望み通りの
進路を手にした
卒業生は
式で
今のわたしのような気持ちで
晴れやかな表情を
していたに違いない。
「それで
お願いします。
お姉さんを信じます。
既に
ここが
わたしのセカイと
別物だって
わたしは
知っています。
わたしには
かけがえのない
大切なセカイが
確かに
あります。」
背筋をピンと伸ばして
誇らしく肩を開き、
必要な言葉を述べた後に、
ぎゅっと
目を瞑ると
暗くなって
何も見えなくなった。
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