### 暴露される尋常でないこと

「分かった。

 ポットとティーバックはこっちだ。」


正座のまま

そう答える中年男に

唇を噛み締めながら

怪訝な表情を作って

泣いていた。


「君が

尋常じゃない理由で

ここに居ることくらいは分かる。

俺に

できることがあれば

協力したい。

ここは

俺の部屋なんだが

それは

承知してくれるか?」


ここは

確かに

わたしが整えた部屋

でないようだ。

よく分からない

目の前の男も

狂人には見えない。


呆然と憮然の間の表情で

涙を拭きながら

肯いた。


「紅茶を淹れます。」


自分が選んだ

幸福を得る決意を持って答えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る