### 現実の日常

新しいセカイへの扉が開いたあの夜は、

汗のかき方と体つきが

気持ちの悪い

ベンチャー企業の創業役員に

身体を好き放題にされた後だった。

指の動かし方も

意味が解からなかった。

指の固さも気持ち悪かった。

爪も長くて

お腹の中で少し怪我をさせられた。

だけれど、

唾液が少し甘くてキスを求めてしまった。

現実逃避がしたかった。

きっと

彼の唾液に含まれていた

微生物が

わたしの口内で死ぬまで繁殖する。


いつにも増して

わたしからした労働価値には程遠い

日銭だったから、

節約してファミレスで過ごしていた。

嫌になってしまうけれど、

生きるためにはお金が必要だ。


美しいものしか好きになれない

わたしが生きるには

沢山のお金が必要だ。

「生きるには誰もが我慢して働かなければならない。」

尊敬できない母親の背中から学んだ唯一のことだ。


席ではいつものように

インターネットで政権批判を書き連ねたり、

ひっきりなしにネトウヨに説法をしていた。

これで

少しでも良い世の中になるのなら

生きている意味がある。

生きる意味の追求にはとても疲れる。


甘い生活なんて

下層労働者階級には

フィクションでしかない。

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