第31話クリーム・ソーダのクリスマスライブ

「僕たちクリーム・ソーダが結成して、初めて演奏されるオリジナル曲です。『クリスマスの天使~君に向けて~』僕たちの初々しい演奏をお聞きください」

 悟くんのMCと共に、明日香さんがリズムを打ち出し始める。雅人くんのベースもグルーブを奏で、音楽が始まる。

―君にはもう会えない、寂しいけれど

―失って初めて知った君の大きさ

―大事な人だった 今は僕の道を歩み始めるよ

 悟くんが書いた詩から、私と雅人くんで曲を作った。私がメロディでどんどん作ろうとすると、雅人くんがバンドでの進めやすさを描いてくれたから、やりやすかった。

―ここに仲間がいる 新しい仲間

―いつか君に聞かせよう 僕らの新しいクリスマスソングを

―君はそこで笑顔を咲かせていてほしい

 きっと、ミキちゃんのことを書いたんんだと分かった。でも、不思議といやな気はしなかった。私と、雅人くんのことも大事にしていることが分かるから。このクリスマスライブが終わったら、私たちは路上ライブを始める。そのため、オリジナルソングも増やす必要があるだろう。前は不安だった。私がプロになりたいと言ったけど、足を引っ張っている気がして。でも今は大丈夫。私が必要というみんなを信じるから。悩んだけど、皆で大学受験をすることにした。就職をするために大学に入るんじゃなくて、たくさんの知識や遊びを経験するために。それぞれが専門の知識を手に入れると、音楽性も変わってくると思う。

 悟くんのパートが変わって、合わせていた私のパートになる。

―ずっとずっと皆でいたい

―不安だった 皆といていいか

―怒らせた日もあった 傷つけた日もあった

―ぶつかったから 今がある

 これは、きっとあの日のことかな。明日香さんを傷つけて、普段怒らない悟くんを怒らせた。あの時は怖かったなあ。

 このクリスマスライブは、ゴールであり、スタート。ライブをやることが目標で、高校生らしい青春をしたかった。私は充実した日々を過ごしている。前だったらこんな日々を過ごすとは思わなかった。

 お母さんには反対された。お父さんがかばってくれた。お姉ちゃんは、普段通りだった。

 Bコードが鳴り私と悟くんのささやく声で曲が終わった。

 私たちが作ったオリジナル曲はこの1曲で、あとはレモン・スカッシュや有名バンドの曲を演奏して、ライブは終了。満員ではないけど、雅人くんの腕や明日香さんたちの前評判で、反応はよかった。私も、キーボードとしてベストを尽くせたと思う。

 目標のステージが、終わった。

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