第22話 人間関係の相談

 生物準備室に入って、椅子に座りながら田口先生に話しをした。部活を始めた理由、集まったメンバー、2人が私とバンドを組んだ理由。私がバンドをしたいと思った理由も、そうしたら-

「山本は、つまらなかったか?」

 意外な言葉に、思わず田口先生を見上げた。

「2人とバンドの練習をして、おしゃべりをして、たしが楽譜も買いに行ったよな。あの時、仲良くやってるって聞いたぞ。石川も楽しそうにしてた。お前は、どうだったんだ?」

 私は、楽しかった。お店でレモン・スカッシュの楽曲を聴いて、こんな風になりたいって思った。だからバンドなんてやったこともないのに、自分もバンドをやりたいって、そう思って部活を立ち上げた。なんだかよく分からなくなって、カーディガンのボタンを留めたり外したりした。

「私は、学校生活を鮮やかにしたかったんです。もっと面白くしたくて」

「じゃあいいじゃないか」

 言葉はたんたんとしているけど、田口先生は親身に答えてくれた。ついでにあたたかいココアもくれた。心やすまる。

「でも2人とも私じゃなくて妹さんの面影を追っているんです」

 ため息をついて、先生は私を見る。

「山本」

 先生は私の目線を合わせる。

「あいつらだってお前が好きじゃなきゃ、活動は続けなかったと思うぞ」

-お前を好きじゃなきゃ、活動は続けなかったと思うぞ

-私を、好き?2人が、私を好き?

「だって、先生、話聞いてました?」

「お前と妹さんが違う人間だなんて、あいつらは分かってるさ。本当にお前を好きだからバンドをしている。ただ面影を追ってしまったのはあるだろう。そこだけお前が聞いてしまったんだ」

 座っている私の肩を励ますように叩きながら、

「確かめてみたらどうだ?そろそろHRだから、教室に戻りなさい。また悩んだら、いつでも相談のるから」

 優しく準備室から追い出されて、私は教室に戻る。2人にLINEを送ってから。

-話があるから、放課後音楽室に来てほしい from優子

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