私のバンドと仲間たち

第19話 真実が知りたい

　英語の授業中。黒板の英文を書き写しながら、愛実ちゃんの言葉を思い返す。

　悟くんと明日香さんは中学でバンドを組んでいた。それなら２人ともお互いの音楽について詳しいはず。そんなに妹さんをかわいがっていたのだろうか。そういえば、明日香さんの妹さんの名前を聞いたことがない。

　明日香さんは珍しく教室にいる。でも私には明日香さんに聞く勇気は、まだない。

ーなんで私とバンドを組んでくれたの？

　妹に似ている、と悟くんから前聞いた。明日香さんはレモン・スカッシュが好きだからと、前聞いた。多分、どちらもあっているだろうけど、明日香さんは私に言っていないことがある気がする。そうだ、悟くんに２人が私とバンドを組んだ理由を…聞いていいのだろうか。私は、無神経じゃないだろうか。

「Today,…」

　英文朗読もそつなくこなす悟くん。普段の彼からは、ギターをかきならす姿を想像できない。彼はいつもおだやかで、気分を害すところは、あまり見ない。

　明日香さん、悟くん、２人に聞きたいことは、２人はどんな気持ちでバンドをやりたいと思っているのか。単に青春をしたいから、そう私がいって始めたバンドだけど、２人にとっては簡単な気持ちでバンドを再開したのではないのでは。

　目線を動かして窓際の明日香さんを見ると、堂々と外の景色を眺めていた。先生も注意しない。まあ私も注意されていないけど。

　聞いてみよう、そう思った。はぐらかされるかもしれない。教えてくれるかもしれない。仲間として、音楽の考えを知りたいのがはじめの気持ちだったけど、どうしてバンドを私と組もうと思ったかを聞きたくなった。私と、どんなバンドがしたいか。本当に、軽いノリでバンドを組んだのか、妹さんのことが関係あるのか。

　私は真実が知りたい。