第7話 楽しみなゲームセンターでは問題も起きて…
高校生、私のやる気は学校で使うけど、勉強じゃなくて遊ぶことが目的。今日は初めてのゲームセンター。友達と遊ぶなんていつぶりだろう。学校で過ごすための友達はいるけど、放課後を一緒に過ごす子なんていなかった。明日香さんと悟くんは現地集合。
電車に乗って中心部に向かうと、明日香さんと悟くんが見えた。明日香さんを見ると、まるでかつあげでもしていそうイライラしている雰囲気。実際は悟くんのほうが立場が強いけど。
「明日香さん機嫌悪いの?」
一応話しかけると、明日香さんは機嫌が悪いのを隠そうともせず、
「俺がこいつを脅してるとか言われて、なんか注意してきやがった。めんどくせぇ」
「ごめんね、明日香ちゃん。僕たちの外見が違いすぎるだけなのにね」
みたままのことが起きたそうだ。明日香さんと悟くんは、外見のイメージと内面のイメージではパワーバランスが違う。話している時には、悟くんのほうにバランスが傾いているから、反応に困る。
「とりあえず、ゲーセンに入りなおそうよ」
明るく伝えてゲームセンターに入る。騒がしくてビックリした。音楽ゲームのコーナーでは、まず明日香さんがドラムのゲーム。好きというだけあって、ゲームもうまい。フルコンでスコアも高かった。
「明日香さんすごいんだね」
「バンドやりたいからな。これくらいできないとカッコわりい。おら、悟の番だぞ」
「じゃあ僕はエレキギターのゲームをやろうかな」
明日香さんが悟くんの名前を呼ぶのを初めて聞いた。いつも、「こいつ」「お前」だから。静かなイメージの悟くんは、どう演奏するんだろう。
音ゲーは音楽のゲームといっても、楽器の演奏法を簡略化している。それができたから音楽がうまいとは限らない。テレビでプロドラマーが太鼓の達人をたたいて競っていたりするけど。
悟くんのギターも驚いた。普段の落ち着いた学級委員とのイメージと離れて、ノリノリな演奏。難しさは最高何度で、こちらもフルコン。
「悟くんもすごいんだね。本当にギターを弾くことが好きって分かって、ビックリした」
「ギターは普段の悩みを解消してくれるんだ。色々な……、色々な悩みをね」
ふと遠い目になった悟くん。私には言わないだけで、悟くんも何か抱えているのだろうか。明日香さんが何も言わずに悟くんを見ている。
そんな2人に、空気を変えるため、話題を探した。
「来週から音楽室使えるみたいだよ! 演奏しようよ」
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