はっぴーえんど
肩を借りている人物に現実と夢の境界を覗き込まれながら眼を覚ます。外は雷雨のようだ。夢の話と現実が入り混じっている。閃光と轟音が騒がしい。何が正しいことが分からず、愛おしき人に今年が何年か聞いてみた。
「二十一年だよ。急にどうしたの?寝ぼけてる?」
電車の広告は政権交代が期待される総選挙の話題一色。電車はガタンゴトンとは音を立てない。私達が帰省を名目として母校の枝垂れ桜を見に来た親子三人だったことを思い出す。向かいの席では小説を読んでいる女子高生がいる。タイトルが気になる。車内で彼女だけが悲しそうだ。同じ光景を見た記憶がある。夢の中で見たのか。うまく思い出せない。彼女は小説を読み終えたようだ。
いつだったか、私達は何か夢を見ていた筈だ。記憶の奥底の触れた頃、ターミナルへの到着を告げるアナウンスが聞こえた。
NULL番地ステーション 律立句・銘家・革君 @yomikakuL
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